千葉県勝浦市と東急不動産らで構成する協議会は1月27日、同市沿岸の藻場保全活動を通じて「Jブルークレジット」の認証を取得したと発表した。不動産会社が参画したプロジェクトによる同認証の取得は国内初の事例となる。
深刻化する海水温上昇や「磯焼け」への対策を加速させ、海洋生態系による二酸化炭素(CO2)吸収量をクレジット化することで、地域経済の活性化と環境保全の循環モデル構築を目指す。
本プロジェクトを推進するのは、2025年5月に設立された「勝浦市藻場保全対策協議会」である。同協議会には、新勝浦市漁業協同組合や勝浦市、東急不動産、東急リゾーツ&ステイのほか、地元の漁協グループや行政機関が名を連ねる。2025年12月19日付で正式に認証を受けた。
勝浦市沿岸は暖流と寒流が交わる豊かな漁場として知られるが、近年は地球温暖化に伴う海水温上昇や、それに伴う植食性魚類の増加により、藻場が著しく減少する「磯焼け」が深刻な課題となっていた。
これに対し協議会は、行政、漁業者、民間企業が連携し、科学的知見に基づいた藻場の再生・保全活動を継続的に実施。今回の認証により、保全された藻場が吸収したCO2量がJブルークレジットとして正式に価値化された。
東急不動産は、地域に根ざしたリゾート事業運営の一環として本プロジェクトに参画しており、自然環境の保全と地域価値の向上を両立させる「環境経営」を加速させる方針だ。
今後は、創出されたクレジットの活用方法や、持続的な藻場保全のための資金循環メカニズムの構築が焦点となる。協議会は次年度以降も保全活動を継続し、気候変動対策における地域連携のモデルケースとして確立させる構えだ。
本件は、これまで「漁業者と行政」の領域であったブルーカーボン事業に、大手不動産ディベロッパーが「事業パートナー」として深く食い込んだ点に大きな意義がある。
不動産会社が持つリゾート運営のノウハウや資金力、そして自社の排出オフセット需要が結びつくことで、ボランティア活動に留まりがちだった藻場保全が「持続可能なビジネス」へと昇華する。
今後は、こうした都市部の大企業と地方自治体・漁協による「共創型クレジット創出」が、日本のカーボンクレジット市場の主流になると予測される。


