ブルーカーボンを排出量取引へ導入検討 米ワシントン州が新プロトコル策定の専門家募集

村山 大翔

村山 大翔

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ワシントン州環境局(Ecology – Washington State Department of Ecology)は1月21日、州の排出量取引制度「キャップ・アンド・インベスト(Cap-and-Invest)」において、ブルーカーボン由来のオフセット・プロトコルを導入するための検討を開始した。

アマモ場や湿地といった沿岸・海洋生態系による炭素吸収プロジェクトを、法的なコンプライアンス市場へ組み込む狙いだ。同局は、技術的な実現可能性を評価する専門家検討部会のメンバー公募を2月12日まで実施する。

今回の検討対象となる「ブルーカーボン」には、アマモ場、湿地、河畔林などの水域生態系が含まれる。検討部会は、ボランタリー市場で先行する既存のプロトコルや最新の科学的知見に基づき、ワシントン州独自の制度に適用可能な手法を約5カ月間にわたり協議する。

同局が求めているのは、ブルーカーボン生態系の管理や保全、炭素会計、さらにはボランタリー市場でのプロジェクト開発や検証に精通した実務家だ。特に、先住民族の土地におけるプロジェクト開発の知見や、環境正義(Environmental Justice)の観点を持つ専門家を重視する姿勢を示している。

背景には、州の排出量取引ルールを定める「WAC 173-446」の改訂プロセスがある。

現在は森林保全などが中心のオフセット項目を、海洋大国である同州の特性を活かしたブルーカーボンへと拡大することで、域内の脱炭素投資を加速させる意図がある。

選出されたメンバーによる初会合は3月中旬に開催される予定だ。部会は月1回、2時間程度のオンライン形式で約5カ月にわたり実施され、その議論の結果は今後の州法におけるルールメイキングに直接反映される。

本ニュースは、ボランタリー市場で先行していたブルーカーボンが、いよいよ米国の強力なコンプライアンス市場(法規制市場)に本格参入する兆しとして非常に重要だ。

ワシントン州の「キャップ・アンド・インベスト」はカリフォルニア州の制度と並び全米で最も先進的な枠組みの一つであり、ここで確立されるプロトコルは、今後の国際的な海洋CDR(炭素除去)の標準モデルとなる可能性がある。

日本においても「Jブルークレジット」などの取り組みが進んでいるが、公的な排出量取引制度との連携の在り方について、本件は重要な先行事例となるだろう。

参考:https://www.ezview.wa.gov/Portals/_1962/Documents/BlueCarbon/Solicitation%20-%20Blue%20Carbon%20Working%20Group.pdf