永久的なCO2除去の「早期購入契約」で事業化を後押し DNVがノルウェーのBECCSプロジェクトと提携

村山 大翔

村山 大翔

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グローバル認証機関のDNV(DNV Group AS)は2026年1月22日、ノルウェーのカーボン・セントリック(Carbon Centric)と、バイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)による炭素除去(CDR)クレジットの長期購入契約を締結した。

DNVは2028年から4年間にわたり、毎年10,000トンのCDRクレジットを購入する。この合意は、ノルウェー南東部のキルケネールで計画されている新規炭素回収プラントの建設を財政的に支援する触媒となり、同施設の年間回収能力の3分の1をDNVが確保する形となる。

本プロジェクトは、ソロール・ビオエナジー(Solor Bioenergi)が運営する既存のバイオエネルギー施設に、アミン法を用いた炭素回収設備を併設するものである。回収されたCO2は液化された後、永続的な地中貯留施設へと輸送・保管される。契約規模は数億ノルウェー・クローネ(1億クローネの場合、約14億円)に達し、カーボン・セントリックにとっては過去最大規模のCDR供給契約となる。

カーボン・セントリックの共同創設者兼最高商務責任者(CCO)であるケネス・ユール氏は「炭素除去プロジェクトの開発には、初期段階で支援を行う先駆的なパートナーが必要だ。今回の長期契約は、永久的な炭素除去に向けた新規プロジェクトの実現を助け、市場全体の発展を加速させる」と述べた。同社は今回の契約を追い風に、2026年中にキルケネール・プロジェクトの最終投資決定(FID)を行う方針を掲げている。

DNVは、自社の気候変動戦略の一環として、回避不可能な排出量を高品質なクレジットでオフセットすることを目指している。同社のサステナビリティ開発責任者であるエレン・スカルスゴード氏は「BECCS企業との提携は、低炭素社会の実現に向けた重要な補完策である。排出削減を自ら実行しつつ、こうした初期段階のプロジェクトを支援することで、市場のスケールアップに貢献したい」と指摘した。

DNVが発表した予測レポートによると、世界の炭素回収能力は現在の年間4,100万トンから、2030年には約2億1,000万トン、2050年には約13億トンにまで急拡大する見通しだ。カーボン・セントリックは今回のプロジェクトを皮切りに、2030年までに年間100万トンのCO2回収能力を確保するという野心的な目標を掲げている。

今回の合意は、2024年に両社が締結した1,000万ユーロ(約16億5,000万円)規模の先行契約に続くものであり、両者の協力関係が一段と強固になったことを示している。

今回のニュースは、CDR市場における「オフテイク契約(先行購入契約)」が持つ重要性を改めて浮き彫りにしました。

BECCSのような大規模な物理インフラを伴う炭素除去プロジェクトは、巨額の初期投資が必要であり、銀行融資や投資家からの資金調達を成功させるには「将来の収益」を保証する買い手の存在が不可欠です。

DNVのような信頼性の高い機関が4年という長期で、かつ施設容量の3分の1を買い取ることは、プロジェクトの「銀行融資適格性(Bankability)」を飛躍的に高める。

日本企業にとっても、単に既存のクレジットを市場で買うだけでなく、開発段階のプロジェクトに対してこうした「確約」を与えることで、確実に将来の供給枠を確保し、同時にネットゼロに向けた「真の貢献」をアピールする戦略が今後ますます重要になる。

参考:https://www.dnv.com/news/2026/dnv-advances-carbon-removal-as-part-of-climate-strategy-agreement-signed-with-carbon-centric/