国内初「絶滅危惧種再生」でJブルークレジット取得 沖縄・石垣島のウミショウブ保全を事業化

村山 大翔

村山 大翔

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2026年1月20日、琉球銀行、沖縄セルラー電話、サンエー、東京海上アセットマネジメントの4社は、沖縄県石垣島で進める絶滅危惧種ウミショウブの保全活動において、「Jブルークレジット」の認証を取得したと発表した。絶滅危惧種を対象とした同クレジットの創出は国内初の事例となる。

2024年7月1日から1年間の活動で再生された二酸化炭素(CO2)吸収量0.6トンがクレジットとして認証され、参画企業のオフセット等に活用される。

今回の認証では、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)による審査において、確実性評価95%という極めて高い評価を獲得した。モニタリング活動には最新技術が導入されており、ドローンによる空撮画像のオルソ化処理や、水中でのコドラート撮影、乾燥重量の精密な計測が実施された。こうした定量的なデータ収集が、クレジットの信頼性を裏付ける高い評価に繋がった。

プロジェクトの舞台となった石垣島野底エリアでは、2020年ごろからアオウミガメによる食害が深刻化し、ウミショウブが急速に減少していた。これに対し、地元の野底小学校の児童やエコツアー団体が保全活動を開始し、そこに県内主要企業が資金や機材を提供することで「地域・学校・企業」の連携体制が構築された。防護柵の設置や継続的な観察により、ウミショウブの回復とCO2吸収量の増加が確認されている。

この取り組みは、単なる環境保全にとどまらず、環境価値を資金循環に組み込む「石垣モデル」の構築を目指している。創出されたクレジットは、沖縄の豊かな生物多様性を守るための活動資金として再投資される。三社の経営陣は、この循環モデルを通じて、石垣島発の持続可能な自然保護の形を全国へ広げていく意向を示している。

今後は、2025年7月以降の活動分についても継続的なクレジット創出を計画しており、対象面積の拡大が次の焦点となる。

地域コミュニティと金融・通信・小売という異業種が連携した本プロジェクトは、TNFDなど、ネイチャーポジティブへの関心が高まる中、日本のブルーカーボン事業における先駆的なケーススタディとなる見通しだ。

今回のニュースは、日本のカーボンクレジット市場が「単なる炭素削減」から「生物多様性との統合」へと進化した象徴的な事例だ。これまでブルーカーボンはマングローブや一般的な藻場が中心だったが、絶滅危惧種に焦点を当て、かつ確実性評価95%という高精度を実現した点は、クレジットの「質の高さ」を求める国際的な潮流にも合致している。

特に、地元の小学生という「次世代」を巻き込んだストーリー性は、サステナビリティ投資の観点からも非常に強力な付加価値となる。中小企業や地方自治体にとっては、大規模な森林を持たずとも、地域の固有種を守ることが経済価値を生むという「石垣モデル」は、新たな地域振興の教科書になるはずだ。

参考:https://www.ryugin.co.jp/corporate/news/91678/

参考:https://www.tokiomarineam.co.jp/news/2026/rce6dt00000006ly-att/20260120_sustainability_release.pdf