東京海上アセマネ、出光興産、商船三井の3社が展開する藻場再生の実証 ブルーカーボン商用化へ加速

村山 大翔

村山 大翔

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東京海上アセットマネジメント、出光興産、商船三井の3社は2026年1月21日、日本各地で藻場再生を通じた「ブルーカーボン」の活用可能性を検証する共同プロジェクトを開始したと発表した。

2024年10月に設立した検討会での議論を経て、島根県などの沿岸域で具体的な実証フェーズへと移行する。

本取り組みは、脱炭素社会の実現に向けた有力な吸収源として期待される海洋生態系の経済価値向上と、将来的な大規模カーボンクレジット創出の枠組み構築を目指すものである。

実証プロジェクトでは、東京海上アセットマネジメントが島根県などで組成する沿岸域の藻場再生事業に、出光興産と商船三井が新たに参画する形態をとる。現場での活動を通じて、藻類による二酸化炭素(CO2)吸収量の測定や維持管理に関する具体的なノウハウを蓄積する方針だ。3社は、2009年に国連環境計画(UNEP)が提唱したブルーカーボンの概念に基づき、海洋環境の保全と経済活動を両立させるビジネスモデルの確立を急ぐ。

地域連携の強化も重要な柱の一つに据える。

活動にあたっては地元の漁業者や自治体、教育機関と密接に協力し、海藻が消失する「磯焼け」問題の解決や環境教育、生物多様性の保全といった付加価値の創出を検討する。これにより、単なる炭素吸収源としての機能に留まらない、地域創生に寄与する多面的な価値をカーボンクレジットの品質に反映させる狙いがある。

今後の展望として、3社は国内で整備が進むブルーカーボンクレジット制度の動向を注視し、得られた知見を基に大規模プロジェクトの実行可能性を評価していく。

特に、石油元売り大手の出光興産や海運大手の商船三井といった排出量の多い産業が、自然由来の吸収源確保に向けて主体的に動く意義は大きい。

東京海上アセットマネジメントは「金融の力を使い海洋などの分野で脱炭素と生物多様性保全の推進に貢献することを目指す」としており、金融・エネルギー・物流の3業種が連携した本プロジェクトは、日本のカーボン市場における官民連携の試金石となる 。

点から線へ

今回の実証移行は、単なる環境保全活動ではなく、クレジットの「供給量」と「信頼性」を確保するためのインフラ整備であると捉えるべきだ。

2024年の検討会発足からわずか1年強で実証へ移行したスピード感は、国内外で高まるネイチャーポジティブへの投資需要を反映している。

特筆すべきは、クレジットの買い手候補となり得るエネルギー・物流企業が、上流のプロジェクト組成段階から関与する点だ。これにより、実社会でのニーズに即した「質の高いカーボンクレジット」の創出が期待できる。

今後は、島根県でのモデルをいかにして他地域へ横展開し、大規模化を実現できるかが、日本のブルーカーボン市場が国際的な競争力を持つための鍵となるだろう。

参考:https://www.tokiomarineam.co.jp/news/2026/rce6dt00000006kx-att/20260121_sustainability_release.pdf

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000501.000092744.html