マレーシア森林基金が「持続可能な金融」試行へ 銀行と森林カーボンクレジット制度を構築

村山 大翔

村山 大翔

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マレーシアの連邦政府機関であるマレーシア森林基金(MFF, Malaysia Forest Fund)は、国内の大手銀行グループと提携し、森林保全と気候変動対策に特化した金融商品の共同開発および試験運用を開始した。

マレーシア天然資源・環境持続可能性省の主導による本プロジェクトは、マレーシア国内の森林資源を基盤とした新たな資金調達モデルの確立を目指すものである。今回の提携は、同国が推進する森林カーボンオフセット(FCO, Forest Carbon Offset)制度のインフラ整備を加速させる重要な転換点となる。

提携の主な目的は、マレーシアの森林を維持・管理するための革新的な金融製品およびモデルの創出だ。具体的には、自然環境と生物多様性の保全を金融システムへ統合することを目指している。この枠組みには、森林保全証明書(FCC: Forest Conservation Certificate)や、現在計画中の森林カーボンオフセット(FCO)システムなどのメカニズムが含まれる。

マレーシア政府は、これらの仕組みを通じて民間資本を森林保護に誘導する戦略を描いている。公表された情報によると、パートナーとなる銀行グループの名称は現時点で明かされていないが、金融機関が直接的に森林管理のインフラ構築に関与する点は、同国の脱炭素戦略における大きな進展であると評価されている。

本イニシアチブは、既存の法的・行政的枠組みを越え、市場メカニズムを活用した気候変動対策へとシフトする動きの一環だ。マレーシア森林基金(MFF)は今後、具体的な試験運用の成果に基づき、森林由来のカーボンクレジット創出に向けた基準策定を進める。次期会計年度までに、これらの金融スキームが市場に提供される見通しだ。

今回のマレーシア森林基金(MFF)と銀行連合の提携は、単なる「環境保護」を「機関投資可能な金融資産」へと昇華させる動きであり、東南アジアにおけるカーボンクレジット市場の成熟度を一段引き上げるものだ。

近隣のインドネシアやタイがカーボンクレジット取引所を先行して開設するなか、マレーシアは銀行セクターを早期に巻き込むことで、クレジットの「信用力(クレジット・インテグリティ)」を金融機関の審査能力で担保する戦略に出た。

この動きは、今後、日本企業がASEAN地域でネイチャーベースのクレジットを調達する際の重要な供給源となる可能性を秘めている。

参考:https://www.rhbgroup.com/-x/media/Files/others/highlights/media-release/M20260115-1.pdf