「AIが無料でカーボンクレジットのポートフォリオを診断」 CNaughtが新ツール公開

村山 大翔

村山 大翔

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カーボンクレジット市場の透明性向上を目指す米スタートアップのシーノート(CNaught)は8月15日、購入済みのカーボンクレジットを自動で分析できる無料の「ポートフォリオ評価ツール」を公開した。人工知能(AI)を活用し、数分で投資状況を診断できる仕組みで、これまで専門コンサルタントに依頼していた作業を誰でも簡単に利用できる。

カーボンクレジットの買い手にとって最大の疑問は「排出削減(回避型)と除去型をどのように組み合わせるべきか」「自然由来と技術由来の比率は適切か」といった点だ。しかし従来は数百ページのプロジェクト文書を読み込むか、高額の費用を払って外部レビューを依頼するしか方法がなかった。

新ツールでは、購入済みプロジェクトを入力すると、ポートフォリオの分散状況やリスク、信頼性チェック、市場全体やCNaught自身のポートフォリオとの比較結果を即座にレポート化する。改善点も提示されるため、今後の調達戦略の見直しに活用できる。

共同創業者のレイチェル・エングストランド氏は「市場全体での信頼性を高め、投資家がより賢明な気候投資を行えるよう後押ししたい」と述べた。ただし同社は「生成AIは誤りを含む可能性があるため、重要な購入判断には専門家の助言が必要」と注意を呼びかけている。

これまでCNaughtは個別に手作業でレビューを行ってきたが、利用者数には限界があった。今回の自動化ツールにより、より多くの買い手が短時間で客観的な診断を受けられるようになり、市場全体のクレジット調達の質向上につながると期待される。

参考:https://www.cnaught.com/blog/carbon-portfolio-assessments-powered-by-ai-and-science