森林カーボンクレジット創出のArborifyが19億円の資金調達 コロンビアで「高信頼性」ARR事業を拡大

村山 大翔

村山 大翔

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植林・再植林・森林再生(ARR)事業の開発を手掛けるアーボリファイ(Arborify)は2026年1月15日までに、コロンビアでの大規模な森林再生プロジェクト拡大に向け、1,300万ドル(約19億円)の新規資金調達を実施した。

商品取引大手トラフィギュラ(Trafigura)の支援を受ける同社は、今回の調達により累計投資額が2,000万ドル(約29億円)に達した。同社はコロンビア・ロスリャノス地方の既存事業を5,000ヘクタール拡張し、計6,300ヘクタールの規模で、高品質なCDRクレジットの創出を加速させる。

今回の資金調達は、特定の主要カーボンクレジット投資家からの出資により実現した。

アーボリファイは、これまでに700万本の樹木を植え替え、現在はさらに1,100万本の植林を進めている。土地コストの低いコロンビアのビチャダ県などに拠点を置き、年間2,500万本の苗木を生産できる苗圃を維持することで、事業のスケールメリットを追求している。既存プロジェクトの成功モデルを「コピー」して横展開する戦略により、運用の習熟度を活かした効率的な事業拡大を図る。

技術面では、プロジェクトの全期間を通じて生物多様性の改善を評価する「DNAモニタリング」や、炭素蓄積量の成長を正確に測定する「リモートセンシング」などの最新技術を導入する。アーボリファイとパートナーのインベルボスケス(Inverbosques)が創出したCDRクレジットは、直近で二酸化炭素(CO2)換算1トンあたり約30ドル(約4,350円)で販売された。同社は今後、自生種の森林再生を1トンあたり7ドル(約1,000円)という大幅な低コストで実現することを目指している。

同社のプロジェクトは、第三者格付け機関からも高い評価を得ている。

炭素格付け大手のシルベラ(Sylvera)からは「BBB」、ビゼロ・カーボン(BeZero Carbon)からは「AA」という高品質ラベルを獲得した。ARR事業への関心が高まる一方で、新規投資家の確保は依然として課題だが、コロンビアがパリ協定第6条に基づく相当調整に対応すれば、二重計上を防ぐ国際的な枠組みへの参入が可能となり、より広範な投資家を惹きつける要因となる。

アーボリファイは2023年にクライムコ(ClimeCo)から150万ドル(約2.2億円)、2024年に約1,500万ドル(約22億円)の出資を受けて急成長を遂げた。

現在のボランタリーカーボンクレジットのグローバルパイプラインは840万トンに上り、得られたキャッシュフローを生物多様性に配慮した森林再生の研究に再投資する。トラフィギュラによる支援は、2030年に向けた排出削減規制の強化を見据え、炭素クレジットのポートフォリオを拡充する同社の2026年戦略の一環である。

今回のニュースは、単なる一企業の資金調達成功に留まらず、ボランタリーカーボンクレジット市場が「安価な回避系」から「高信頼な除去系」へと完全にシフトしていることを示唆している。

参考:https://www.arborify.com/blog/arborify-reaches-20-million-investment-milestone