2026年韓国初排出権オークションが完売 「K-ETS第4期」始動で価格上昇への期待

村山 大翔

村山 大翔

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韓国環境省は1月14日、2026年最初となる排出権有償オークションを実施し、用意された100万トンの排出枠をすべて落札した。

今回のオークションは、2026年から2030年までを対象とする第4期韓国排出権取引制度(K-ETS)の初年度にあたり、落札価格は1トンあたり約1万491ウォン(約1,135円)と、直近の価格から微増した。応札倍率が募集数量を上回るオーバーサブスクリプションを記録したことは、脱炭素化の加速に向けた市場の強い関心を浮き彫りにしている。

今回のオークション完売は、韓国政府が第4期計画において、無償割り当てを削減し有償オークションの比率を高める方針を打ち出した直後の節目となった。2025年12月末のオークションでは、400万トンの提供に対し落札率が35パーセントに留まり、価格も1万300ウォン(約1,114円)まで下落していた。

しかし、年明け最初の取引で100万トンの枠が完売した事実は、市場参加者が新フェーズにおける供給絞り込みを意識し始めたことを示唆している。

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政府は気候変動目標の達成に向け、2026年中に排出権価格が現在の約2倍まで上昇すると予測している。これに対し市場アナリストの間では、過去の供給過剰の経緯から慎重な見方も根強い。

第4期では市場の透明性と流動性を高めるため、ベンチマーク方式の割り当て拡大や、市場安定化メカニズム(K-MSR)の導入、さらには排出権先物取引の開始など、多角的な制度改革が予定されている。

韓国政府は、2026年12月までに市場の需給状況を再評価し、必要に応じてオークション数量の調整を行う方針を固めている。次回の定例オークションでは、第4期制度の詳細な運用ルールが価格形成にどのような影響を与えるかが焦点となる。

今回のオークション結果は、供給過剰に苦しんできた韓国市場が「第4期」という制度の節目を機に、ようやく正常な価格シグナルを発信し始めた兆候と言える。

特筆すべきは、2026年から日本でもGX-ETSが本格的な義務化フェーズへ移行することだ。日韓両国が同時期に制度の厳格化へと舵を切ることで、東アジア地域におけるカーボンプライシングの連携や、企業の排出削減コストの平準化に向けた議論が加速する可能性がある。

日本企業にとっては、韓国の制度改革を先行事例として注視し、排出権先物などの金融手法を自社の脱炭素戦略にどう組み込むかを検討する好機となるだろう。

参考:https://ets.krx.co.kr/board/ETS01030000/bbs#view=571