「バイオ炭は高信頼のCDR手法」 ICVCM、5つの新方法論を認証 今後の供給拡大に道筋

村山 大翔

村山 大翔

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ボランタリーカーボンクレジット市場の信頼性を監督する国際機関、ICVCMは13日、バイオ炭と改良型森林管理(IFM)を対象とする5件の新しい方法論を承認し、自らの高品質認証「CCPラベル」の対象に追加した。バイオ炭3件、IFM2件が今回承認され、さらに1件のIFM手法については条件付きでの承認となった。

バイオ炭は、農業残渣や木材などのバイオマスを低酸素環境で加熱して得られる炭素材料で、土壌に混ぜることで長期間にわたり二酸化炭素を固定できる。2025年の自主カーボン市場では、最も多く取引された炭素除去(CDR)手法となっている。

ICVCMが今回承認したバイオ炭の方法論は以下の通り。

  • CAR「米国・カナダ向けバイオ炭手法」(Ver.1.0)
  • Isometric「バイオ炭製造・貯蔵」(Ver.1.0)
  • Verra「土壌および非土壌用途のバイオ炭利用」(VM0044・Ver.1.2)

このうち、Isometric手法にはすでに25件のプロジェクトが登録されており、2026年には約50万件のクレジット発行が見込まれている。VM0044は3件が登録され、年間約24万9,000件のクレジットが発行される見通しだ。

ICVCMのアネット・ナザレス議長は「バイオ炭は急成長中の市場分野であり、今回の承認はその信頼性を裏付ける」と語り、「今後も高品質なクレジットが増えていくことを期待している」と述べた。

また、森林管理による炭素吸収量の向上を目指すIFM分野でも、以下の2件が新たに承認された。

  • Verra「国家森林インベントリを基にした動的ベースライン方式」(VM0045・Ver.1.2)
  • ACR「米国民間森林におけるIFM」(Ver.2.1)

IFMは、収穫時期の延長や選択的伐採の導入など、森林を持続的に管理することで、炭素の蓄積量を高める手法だ。VM0045には現在2件のプロジェクトが検証中で、年間25万8,000件のクレジット発行が期待されている。ACR手法にはすでに18件のプロジェクトが登録済みで、対象面積は約50万エーカーにのぼる。

一方、メキシコ向けの「CAR森林プロトコル Ver.3」は、漏れ排出(リーケージ)の再計算と、最低40年間の貯留義務を反映した修正を条件に承認が保留された。すでに発行済みの810万件のクレジットが、今後CCPラベル対象となるかは不透明だ。

ICVCMは今後も審査を続け、9月にはACR手法Ver.2.0の承認可否を発表する予定。

参考:https://icvcm.org/integrity-council-approves-biochar-amp-improved-forest-management-methodologies/