「稲作でメタン削減でGS認証取得」 インド発スタートアップが初のカーボンクレジット獲得

村山 大翔

村山 大翔

「「稲作でメタン削減でGS認証取得」 インド発スタートアップが初のカーボンクレジット獲得」のアイキャッチ画像

インド南部のスタートアップ、Sow & Reap Agro(ソウ・アンド・リープ)は8月11日、水田からの温室効果ガス(GHG)排出を抑える取り組みにより、国際的な認証機関Gold Standardからカーボンクレジットの認定を受けたと発表した。稲作でこの認定を受けたのはインド初で、今回37,405トン分のカーボンクレジットが発行される見込みだ。

ソウ・アンド・リープは、テランガーナ州の農家約35,000人と協力し、10万エーカー(約4万ヘクタール)の水田で「AWD(乾湿交互灌漑)」という新しい水の管理法を導入した。この方法は、水を断続的に与えることで土中の酸素が保たれ、メタンという強力なGHGの発生を抑える仕組みだ。

従来の「常に水を張る稲作」と比べて、水の使用量や肥料の量が減るうえ、収穫量も維持または向上できるとして注目されている。

同社はプロジェクトの信頼性を高めるため、200人以上のスタッフを現地に配置。ブロックチェーンを使った専用アプリで、圃場の水位や位置情報などのデータを細かく記録し、取り組み全体の透明性を確保した。

審査には、コーシャ・クライメート(Kosher Climate)やカーボン・チェック(Carbon Check(India))など複数の専門機関が関わり、計4回の精査を経て、最終的にGold Standardによる認証が下りた。

ソウ・アンド・リープの創業者でCEOのスラジ・テジャ氏は「農家の努力が報われ、新しい収入の道が開けた。持続可能な農業の広がりに大きな一歩だ」と語った。

この成功は、気候変動対策としての農業の役割を示す好例とされており、今後はこの仕組みがインド各地や他の作物にも広がる可能性がある。次回のカーボンクレジット発行は、2026年春作の終了後に予定されている。

参考:https://www.linkedin.com/posts/sowandreap.in_carboncredits-sustainability-climateaction-activity-7360991374751518722-5qHE