ケニア、ノルウェー、米国政府および国際エネルギー機関(IEA)は12月11日、アフリカ全土でのクリーンな調理手段(クリーンクッキング)の普及を目指す第2回国際サミットを、2026年にケニアのナイロビで開催すると発表した。
2024年のパリ会議で形成された官民のモメンタムを維持し、アフリカで10億人が直面するエネルギーアクセスの欠如を解消するとともに、関連する炭素削減プロジェクトへの資金流入を加速させる狙いだ。
主要4者によるハイレベル主導
2026年のサミットは、ケニアのウィリアム・ルト大統領、ノルウェーのヨナス・ガール・ストーレ首相、米国のクリス・ライトエネルギー長官、そしてIEAのファティ・ビロル事務局長が共同議長を務める。クリーンクッキング分野は、森林減少の抑制や健康被害の軽減に直結することから、ボランタリーカーボンクレジット市場(VCM)においても「高品質なカーボンクレジット創出源」として注目されており、本サミットは政策と市場メカニズムの両面から普及を後押しする場となる。
パリ会議からの進捗と資金動員
2024年5月にパリで開催された第1回サミットには、アフリカ諸国の首脳やアフリカ開発銀行グループ(AfDB)などの国際機関、大手エネルギー企業のCEOら約60カ国が参加した。この際、政府および民間セクターから総額22億ドル(約3,300億円)に上る資金拠出の公約(プレッジ)が表明され、クリーンクッキング市場への投資機運が世界的に高まる契機となった。
IEAが2025年7月に発表した進捗レポートによると、パリ・サミットでの公約額のうち、すでに4億7,000万ドル(約700億円)以上が実行に移されている。同レポートの発表は、ビロル事務局長に加え、アフリカ連合(AU)のインフラ・エネルギー担当委員であるレラト・マタボゲ氏、タンザニア大統領特別代表のジャクリーン・カウィシェ氏によって行われた。両氏は、IEAとの協力がアフリカにおけるクリーンクッキングへのアクセスを前進させ、各国の政策努力が国内市場の急速な拡大を支えていると指摘した。
2040年に向けたロードマップ
IEAは、2040年までにサハラ以南のアフリカ全域でクリーンクッキングへのユニバーサルアクセス(完全普及)を達成するための費用対効果の高いロードマップを策定している。次回ナイロビでのサミットは、この目標達成に向け、公的資金だけでなく民間投資や炭素クレジット収益を活用した持続可能なビジネスモデルを確立できるかが焦点となる。
参考:https://www.iea.org/news/kenya-norway-us-and-iea-to-hold-2nd-major-summit-on-clean-cooking-in-africa

