炭素除去(CDR)の標準化に取り組む米非営利団体、Carbon Removal Standards Initiative(CRSI)は11日、CDR技術を各産業の事業プロセスにどう組み込めるかを示した新ツール「CDR統合マップ(Sectoral Integrations Map)」を公開した。ビジュアル形式で構成されており、CDRと既存の業務との接点をひと目で把握できるようになっている。
このマップは、エネルギー、農業、建設、重工業などの主要セクターごとに、CDRを導入できる具体的な場面を紹介。たとえば、廃バイオマスの再利用、産業廃熱の活用、地中へのCO2貯留など、既存の資源や工程を活かしながらCDRを組み込む道筋を示している。
また、導入のチャンスだけでなく、実装を妨げる課題にも焦点を当てている。具体的には、CO2輸送ネットワークの整備、CDRプロジェクトの許認可制度、進捗を測るMRV(測定・報告・検証)体制の確立などが挙げられている。
さらに、セクター間の関係性も図示されており、直接空気回収(DAC)は低炭素電力への依存が大きいこと、バイオ炭の活用には地域の物流体制が重要であることなど、技術ごとの前提条件も明らかにされている。
CRSIはこのマップについて「今後も専門家や現場の声を取り入れ、継続的にアップデートしていく」としており、誰でもオンライン上でフィードバックを送れる仕組みを整えている。
同団体は、CDR政策を支援するために2024年に設立された独立系組織で、設立メンバーにはCarbon180の前科学・イノベーション責任者であるアヌ・カーン氏が名を連ねている。現在はCDRの定量評価や政策支援に特化した活動を展開している。
参考:https://www.carbonremovalstandards.org/sectoral-integrations-map