カナダを拠点とする二酸化炭素除去(CDR)プロジェクト開発会社であるディープ・スカイ(Deep Sky)と、日本の大手金融機関である三井住友銀行(Sumitomo Mitsui Banking Corporation、SMBC)は、日本国内における直接空気回収(DAC)技術の大規模展開と、高品位なCDR市場構築を加速させるための戦略的提携を発表した。
DACクレジットの調達経路と金融構造を開発
この提携は、12月3日から4日にかけて東京で開催された「DeCarbon Tokyo 2025」カンファレンスで公表された。両社は、DAC技術と信頼性の高いCDRソリューションを日本で規模拡大させるため、商業的経路、革新的な金融構造、および政策的枠組みの開発で専門知識を組み合わせる。
特に両社が注力する重点領域は三つに絞られている。
- 日本におけるDAC炭素クレジットのオフテイク(調達)経路の確立
- 日本企業との地域的および国際的な協業の促進
- 日本のDACエコシステムの推進とそれを可能にする政策策定
この提携は、日本の金融・産業界リーダーの間で、永久的なCDRソリューションへの関心が高まり、その大規模導入に必要な商業的・金融的インフラを整備する機運が強まっていることを示すものだ。ディープ・スカイとSMBCは、DACが現在の気候危機対策における極めて重要な役割を果たすとの認識のもと、共同で市場開発作業を直ちに開始する。
脱炭素化を支える新技術へのコミットメント
SMBCの入江執行役員サステナビリティ企画部長は、「SMBCは、トランジション・ファイナンスの提供、新興技術への貢献、そしてステークホルダーとの協働を通じて、実体経済の脱炭素化を支援することを目指している」と述べた。
また、ディープ・スカイのアレックス・ペトレ最高経営責任者(CEO)は、日本を「永続的な炭素除去の次なる段階における最も重要なフロンティアの一つ」と位置づけている。
ペトレCEOは、「SMBCとの提携により、ディープ・スカイのプロジェクト開発能力と、日本で最も影響力のある気候変動金融プラットフォームの一つが組み合わさることになる」と指摘。さらに、「共同で、日本企業が高品位で永続的な(炭素)除去にアクセスできるよう支援し、DACの規模拡大を可能にする市場構造の構築に取り組む」と加えた。
入江部長は、「ディープ・スカイは、DACに関する独自のプロジェクト開発モデルと深い運用洞察をもたらす」として、「この提携を通じて、日本のDACとCDRの進展に貢献し、クライアントのネットゼロ目標達成を支援することを目指す」と締めくくった。
今後、両社は共同市場開発の取り組みを直ちに開始し、日本が掲げる野心的な脱炭素目標達成のための重要なステップとして、DACの導入を推進していく方針だ。

