カーボンクレジット基準の策定機関であるレインボー(Rainbow)は11月28日、同機関の主要なガバナンス文書である「標準規則 V7.0」および「手順マニュアル V3.0」の改定案を発表し、30日間のパブリックコメント(公衆協議)を開始した。今回の改定は、自主的炭素市場のための誠実性評議会(ICVCM)や欧州連合(EU)の炭素除去認証枠組み(CRCF)、さらには国際民間航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム(CORSIA)といった、厳格化する国際的な要件に自らの枠組みを適合させる狙いがある。
新たな規則案は、信頼性と透明性の向上を目的として設計された。具体的には、ボランタリーカーボンクレジット市場(VCM)における質の高いカーボンクレジットの基準として注目されるICVCMのコアカーボン原則(CCP)や、EUが進めるCRCFおよびその実施規則、CORSIAのコンプライアンス要件を反映している。
レインボーは声明の中で、「急速な規制強化と信頼性の向上が求められる市場環境において、文書の実用性と明確さを確保し、ベストプラクティスと整合させることを目指す」としている。
今回の協議プロセスは、標準規則の改定と手順マニュアルの更新という2つのセクションで構成される。特に手順マニュアルには、これまで独立した文書として管理されていた「妥当性確認・検証機関(VVB)」に関する要件が統合された。この統合により、レインボーが方法論(メソドロジー)の適用範囲を拡大する中で、監視体制の合理化と運用の明確化を図る方針だ。
レインボーによると、パブリックコメントの受付期間は少なくとも2025年12月28日まで継続される。その後、寄せられた意見を反映した最終版の文書は、2026年2月までの発行を見込んでいるが、このタイムラインはあくまで目安であり固定されたものではないとしている。
今回の改定の背景には、VCMの標準化団体が、コンプライアンスカーボンクレジット市場との相互運用性を高めようとする世界的な動きがある。EUがCRCFの運用開始に向けて準備を進め、国際民間航空機関(ICAO)がCORSIAの適格性要件を厳格化する中、レインボーのようなプログラムに対し、方法論の厳密さや保証プロセスの強固さ、ルール策定の透明性を実証するよう求める圧力が強まっている。
レインボーは、次期基準の形成と市場の期待に沿ったカーボンクレジット枠組みを確保するため、利害関係者からの広範なフィードバックが不可欠であると強調した。
参考:https://docs.rainbowstandard.io/rainbow-standard-documents/public-consultations
