総合人事・人財サービス大手のアデコ(Adecco)は12月1日、「東京都カーボンクレジットマーケット普及啓発事業」の運営業務を受託し、同日より開始したと発表した。東京都が2025年3月に開設した独自のカーボンクレジット取引システムにおいて、専門性の高さが障壁となっていた中小企業の参入を促し、市場の流動性向上と脱炭素化を加速させる狙いだ。
東京都は2050年までの「実質排出ゼロ(ゼロエミッション東京)」実現に向け、都内企業に対し省エネ設備の導入や再生可能エネルギー利用に加え、カーボンクレジットの活用を推奨している。都は今年3月、J-クレジットなどの環境価値を売買できる「東京都カーボンクレジットマーケット」の運用を開始したが、制度の複雑さや専門知識の不足から、リソースの限られた中小企業にとっては参加のハードルが高いことが課題となっていた。
アデコが運営を開始した本事業では、金融機関やコンサルティング会社などの専門団体と連携し、中小企業の脱炭素経営をハンズオンで支援する。具体的には、自社の二酸化炭素(CO2)排出量を算定する「可視化診断ツール」の提供や、カーボンクレジットの専門知識を持つ「ナビゲーター」による個別相談を実施する。企業はこれらのサービスを無料で利用でき、クレジットの購入や創出に向けた具体的なノウハウを得ることが可能となる。
同社は2020年以降、全国の自治体や公的団体から約570件の事業を受託した実績を持つ。今回の事業を通じて、都内中小企業の行動変容を促し、東京都が主導するカーボンクレジット取引の活性化につなげる方針だ。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001032.000001264.html
