恵那電力らがカーボンオフセット『栗きんとん』販売開始 地域産J-クレジットで銘菓を脱炭素化

村山 大翔

村山 大翔

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恵那電力は2025年12月1日、岐阜県恵那市の特産品である『栗きんとん』について、同市内で創出されたJ-クレジットを活用したカーボンオフセット商品の販売を開始した。地元和菓子店の有限会社良平堂と連携し、再生可能エネルギー由来の環境価値を地域の看板商品に付加することで、「環境価値の地産地消」モデルを確立する狙いだ。

今回の取り組みは、日本ガイシ、恵那市、中部電力ミライズが出資する地域新電力会社である恵那電力が主導した。恵那市内10カ所の太陽光発電設備から得られた電力を環境価値化し、国が認証するJ-クレジットとして恵那市が保有。このカーボンクレジットを、良平堂が製造・販売する『栗きんとん』の製造過程等で排出される二酸化炭素(CO2)のオフセットに充当する仕組みである。栗きんとん業界におけるカーボンオフセット商品の市場投入は、今回が初の事例となる。

本商品は2025年12月1日から2026年2月頃まで、良平堂の店舗およびECサイトで販売されるほか、恵那市のふるさと納税返礼品にも登録された。恵那市は2050年までの脱炭素社会実現を目指す「ゼロカーボンシティえな」を掲げており、今回の施策は、地域エネルギーの活用と地元産業の振興を両立させる具体的な実証事例と位置づけられる。

恵那電力は、固定価格買取制度(FIT)に依存しない自立的な再生可能エネルギー活用を特徴とする「恵那モデル」を推進している。同社による地元産品へのカーボンオフセット適用は、2023年の岩村醸造株式会社の日本酒「女城主」に続く第2弾となる。同社は今後、第3弾の商品開発も計画しており、地域内で創出されたカーボンクレジットを地域経済圏内で循環させるエコシステムの構築を加速させる方針だ。

参考:https://www.city.ena.lg.jp/material/files/group/1/151201kabonnohu.pdf