IEAら、石油ガス116社の脱炭素「透明性」を初評価 メタン削減など25指標で監視

村山 大翔

村山 大翔

「IEAら、石油ガス116社の脱炭素「透明性」を初評価 メタン削減など25指標で監視」のアイキャッチ画像

国際エネルギー機関(IEA)、国連環境計画(UNEP)の国際メタン排出観測所(IMEO)、および環境防衛基金(EDF)は、世界の石油・ガス生産の約8割を占める大手116社を対象に、排出削減の取り組みを評価した報告書「Pledges to Progress 2025」を発表した。第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)で発足した「石油・ガス脱炭素憲章(OGDC)」の履行状況を可視化する初の試みであり、メタン漏洩対策など25の指標に基づく厳格な監視体制が敷かれることになる。

業界全体の8割をカバーする監視網

本報告書は、IEAらが策定した新たな評価枠組みに基づき、OGDCへの署名・未署名を問わず、業界への影響力が大きい主要企業の進捗を定量的に追跡するものだ。OGDCでは、50社以上の主要企業が「2050年までのオペレーション由来の排出ネットゼロ」を掲げているが、世界的にメタン排出やフレアリング(余剰ガスの燃焼処理)が増加傾向にある中、その実効性が問われていた。

評価対象は世界の石油・ガス生産の80%をカバーしており、企業のア野心的な目標が実際の「行動」に結びついているかを客観的に判断する材料となる。

炭素会計とクレジットの信頼性へ直結

今回の評価において特筆すべきは、この透明性確保の動きがカーボンクレジットや炭素除去(CDR)市場の健全性に対し、極めて重要な意味を持つ点だ。

石油・ガス業界が掲げるネットゼロ目標の多くは、排出削減困難な領域における炭素クレジットの活用や、CCS(炭素回収・貯留)などの技術導入を前提としている。しかし、基礎となるメタン排出量などの正確な測定・報告・検証(MRV)がなされなければ、オフセット戦略の正当性は根本から揺らぐことになる。今回設定された25の指標による厳格な評価は、グリーンウォッシュを防ぎ、投資家や政府が信頼できる脱炭素投資を見極めるための重要な基盤として機能する。

報告書は、エネルギー廃棄の削減と気候変動対策の緊急性を強調しており、今後、各企業のデータ開示姿勢が、ESG投資の呼び込みや規制対応において決定的な差を生むことになりそうだ。

参考:https://www.iea.org/reports/pledges-to-progress-2025