コンプライアンスカーボンマーケット(CCM/Compliance Carbon Market)について
コンプライアンスカーボンマーケット(CCM/Compliance Carbon Market)は、日本語で「規制された炭素市場」となります。主に政府によって設定された規制や法的義務に基づいて運営されており、特定の温室効果ガスの排出削減を目指す企業や組織に参加が義務付けられる市場のことです。(Regulated Carbon MarketやMandatory Carbon Marketsと表されることもあります。)
コンプライアンスカーボンマーケットの例
キャップアンドトレード制度
キャップアンドトレード制度(排出量取引制度とも呼ばれる)は、コンプライアンスカーボンマーケットの代表的な例です。この制度では、政府が炭素排出の強度、セクター、または規模に基づいて参加者を特定し、制度の対象となる企業が排出できる温室効果ガスの総量に上限(キャップ)を設定します。
キャップの範囲内で、企業は排出許可証(アローケーション)を購入または受け取り、必要に応じて互いに取引することができます。排出量を削減した企業は、余った許可証を将来のニーズに備えて保持するか、追加の許可証が必要な他の企業に売ることができます。
代表的なキャップアンドトレード制度
EU ETS
世界最大のキャップアンドトレード制度で、EUの温室効果ガス排出量の3分の1以上をカバーしています。
UK ETS
2021年1月1日に始まり、EU ETSへのUKの参加を置き換えました。
その他
その他、オーストラリア、ブラジル、中国、および米国の州レベルで運営されるETSも存在しますが、制度の内容は異なる場合があります。日本でも、経済産業省が主導するGXリーグにて制度設計が進められています。
ボランタリーカーボンマーケット(VCM)との関係
ボランタリーカーボンマーケット(VCM)は、コンプライアンスカーボンマーケットとは独立して機能し、自主的市場で取引されるクレジットは、規制された市場によって組織に課された法的および規制上の義務を満たすために使用することは、基本的にはできません。
まとめ
規制された炭素市場は、気候変動対策の一環として非常に重要な役割を果たしています。この市場は、参加者が法的に自身の排出量を削減することを義務付け、排出量の削減を促進するとともに、排出量の削減に成功した企業や国に対する報酬を提供します。これにより、気候変動対策の推進が後押しされています。