米カリフォルニア州のプロメテウス・フューエルズ(Prometheus Fuels)は8月8日、直接空気回収(DAC)と太陽光発電だけを使った世界初のカーボンニュートラル燃料の商業化に成功したと発表した。補助金や水素、送電網に依存せず、化石燃料より安く製造できるのが特徴だ。
同社の試作機「タイタンフォージ・アルファ」は、50基の「ファラデー・リアクター」を搭載し、国際的な技術成熟度評価で最も高いレベル9(TRL9)を獲得。これは実用化段階に達したことを示す。同施設では、すでに空気中のCO₂を回収し、太陽光で発電した電力を使ってe-メタノールを製造している。
今後は初の商業プラント「タイタンフォージ・ワン」を建設し、今後10年間で事前契約済みのe-Fuel約1,100万トンを出荷する予定。システムは変動する再エネ電力にも対応し、送電インフラのない日射量の多い地域でも稼働できる。
創業者兼CEOのロブ・マギニス氏は「化石燃料より安く作れるe-Fuelを実現した。エネルギーの常識を塗り替える発明だ」とコメント。液体燃料は長期保存や輸送が容易で、グリッドの安定化、AIデータセンター、船舶や航空機の燃料など幅広い用途が見込まれる。