自動車大手ホンダは11月19日、米国全土の農家が再生型農業(Regenerative Agriculture)を導入することを支援するため、インディゴAG(Indigo Ag)が運営する「カーボン・バイ・インディゴ(Carbon by Indigo)」プログラムに参加し、土壌炭素除去クレジットを購入したと発表した。ホンダは、自社の脱炭素化目標達成に向けた一環として、1,800トンの二酸化炭素(CO2)除去量に相当するクレジットを確保し、大気中の炭素除去を支援する。
再生型農業とは、不耕起栽培や被覆作物の植え付け、輪作の多様化といった手法を通じて土壌の健康を改善し、CO2を土中に隔離(固定化)することで、高水準の農業土壌炭素クレジットを生成する取り組みだ。ホンダが今回投資した土壌炭素除去プロジェクトは、全米の農家を支援するもので、特にアラバマ州、インディアナ州、ノースカロライナ州、オハイオ州、サウスカロライナ州など、ホンダの事業所近隣の約150の農家を含む計214,000エーカー(約86,600ヘクタール)の農地での再生型農法の導入を後押しする。
このプログラムを通じて発行されるすべてのクレジットは、信頼性の高いカーボンクレジット登録簿である気候行動予備(Climate Action Reserve)から発行され、アスター・グローバル・エンバイロメンタル・ソリューションズ(Aster Global Environmental Solutions)による第三者検証を受けている。また、このプロジェクトで実施される農法は、炭素1トン除去あたり平均で約69,000ガロン(約261,000リットル)の節水にも貢献しているという。
ホンダ・ディベロップメント・アンド・マニュファクチャリング・オブ・アメリカ(Honda Development & Manufacturing of America, LLC)のサステナビリティ戦略リードであるマフジャビーン・カディール氏は、同社のオハイオ州での活動に言及し、「ホンダは、気候変動の課題を管理し、次世代のために健康な農地を維持する再生型農業の実践を支援することで、これまでの歴史の上に新たな一歩を築いている」と述べた。
インディゴAGのディーン・バンクス最高経営責任者(CEO)は、「カーボン・バイ・インディゴ・プログラムは、地域社会とその環境に具体的な利益をもたらすことで、基盤から繁栄を築く」と指摘し、ホンダのような企業との協力が気候変動目標達成に向けた行動につながるとコメントした。
ホンダは、製品と事業活動の脱炭素化を目標としており、削減しきれない温室効果ガス排出量に対してのみ、高品質なオフセットを利用する方針を掲げている。同社は、100%電気自動車・燃料電池車への移行、オハイオ州での85,000本超の植樹を通じた自然ベースソリューション、再生可能エネルギーの調達など、複数の取り組みを推進している。
