水稲メタン削減で農家所得向上へ、豊田市とJAら3者が「農業由来カーボンクレジット」創出で連携

村山 大翔

村山 大翔

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愛知県豊田市は、市内の農協、およびカーボンクレジット事業者を巻き込み、「農業版カーボンクレジット創出の取組普及に関する連携協定」を締結した。豊田市、あいち豊田農業協同組合(JAあいち豊田)、Green Carbonの3者は、水稲栽培におけるメタン排出量削減を核とした環境価値を数値化し、カーボンクレジットとして流通させることで、ゼロカーボンシティの実現と農家所得の向上を両立させる狙いだ。

この協定に基づき、3者は温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けた具体的な取り組みを拡大する。特に注目されるのは、国の認証制度であるJ-クレジットを活用した「水稲栽培における中干し期間の延長」の普及と、国内初となる産学官連携での「間断かんがい(AWD)」実証実験だ。中干し期間の7日間延長は、水田のメタン排出量を減らすための手法であり、削減された排出量はクレジットとして認証され、農家の副収入につながる。間断かんがいは、水田の湛水と落水を交互に行い土壌を乾かすことで、メタン排出を抑制する水管理方法である。

生成されたカーボンクレジットは、豊田市内の事業会社に紹介・取り次ぎが行われ、カーボンクレジットの「地産地消」を促進する方針である。これは、地域の環境負荷低減活動の成果が地域経済内で循環する新たなモデルケースとなる。

豊田市は、協定を通じて第4次豊田市農業基本計画に掲げる「環境にやさしい農業の推進」を具体化させるとともに、農業分野からのGHG排出削減という、カーボンニュートラル達成における難易度の高い課題解決への突破口を開きたい考えだ。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000095.000110999.html