スイス連邦環境庁(FOEN)は8月7日、英ロンドンのカーボン評価機関BeZero Carbonを起用し、パリ協定第6.2条に基づく国際炭素クレジットのリスク評価を行うと発表した。これは、スイスが自国の温室効果ガス削減目標に算入する予定のプロジェクトを対象に、政府調達の段階で第三者による品質チェックを導入するものだ。
第6.2条は、各国が削減した温室効果ガス排出量を相互に取引できる国際制度。スイスは、独立した品質評価を組み込んだ形での制度運用を世界に先駆けて実施している。今回の評価対象は3件で、このうち電動バス導入事業と稲作メタン削減事業はすでに分析を終えた。
BeZeroは、各プロジェクトの環境リスクを科学的に分析し、その結果をスイス政府の取引判断に反映させる。これにより、政府の国際炭素取引戦略に「透明性」と「信頼性」を制度的に組み込むことになる。この取り組みは、高い信頼性を持つカーボン市場の基盤づくりに向けた重要な一歩であり、今後第6.2条を活用する他国にとってもモデルケースとなる可能性がある。
BeZeroの共同創業者で最高イノベーション責任者(CIO)のセバスチャン・クロス氏は「科学的厳密性と透明性を取り入れることで、市場の信頼性を高め、各国が気候目標を達成するための説明責任と意欲を支える」と語った。