インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)は11月18日、世界各地のプロジェクトが地中へ恒久貯留したCO2量を体系的に記録する「ロンドン地中CO2貯留登録簿」を公開した。1996年から2024年までの実績を網羅し、研究者らは「世界的なCCS配備に欠かせない透明な基準点が初めて整った」と位置づけている。
登録簿は、プロジェクト単位の詳細データベースと、国際的検証機関DNVの独立審査を含む年次報告書で構成される。学術界、産業界、国際機関が支援するコンソーシアムによって運営され、CCSの信頼性向上を目的とする。
登録簿によると、1996年以降に世界で地下へ注入・恒久貯留されたCO2は累計3億8,400万トンに達する。現在の増加ペースが維持されれば、2030年までに累計1ギガトンを突破する見通しで、地質貯留の拡大が従来予測を上回る速度で進んでいることが判明した。
2023年は最も完全なデータが揃う年で、年間4,500万トン超のCO2が貯留された。これは50〜150TWhの再エネ発電による排出回避量に相当し、英国を含む多くの国の年間再エネ発電量を上回る規模である。
データは、商業規模のCO2貯留が北米・南米、欧州、中東、豪州、中国にまで広がり、多様な地質条件と政策環境で稼働していることを示す。研究チームは「地質貯留はもはや将来概念ではなく、実証済みの大規模気候技術となった」と述べ、誤解や懐疑論を払拭する根拠になると強調した。
また、累積貯留量の可視化は、排出削減だけでなく大気中CO2の除去(CDR)でもCCSが中心的役割を担うことを浮き彫りにする。研究者は「社会はすでに大規模気候緩和に必要なツールを手にしており、それらは世界中で稼働している」と指摘し、透明性の高い科学的基盤が整備された意義を強調した。
参考:https://imperialcollegelondon.github.io/The-London-Register-of-Subsurface-CO2-Storage/
