日本航空(JAL)は8月7日、持続可能な航空燃料(SAF)の利用を広げるための「Scope3環境価値取引」実証プロジェクト第1フェーズが終了したと発表した。2024年8月から8カ月間、成田空港で試験を行い、複数企業がSAF利用による環境価値を売買できるデジタル取引プラットフォームの機能と透明性が確認された。
このプロジェクトには、JALのほか伊藤忠商事、ENEOS、日本通運ホールディングス、みずほ銀行、みずほリサーチ&テクノロジーズ、成田国際空港の計7社が参加。取引データの登録、条件交渉、契約締結などを行い、日本海事協が第三者評価を実施した。
第2フェーズでは参加企業を増やし、Scope3排出量(サプライチェーン全体の間接排出)の認知度向上と制度の社会実装を目指す。最終的には、業界を超えて協力し、航空分野の脱炭素化を後押しする新しい炭素市場の構築を狙う。
JALの鳥取三津子社長は「環境価値取引は航空の脱炭素化に有効だと改めて確認できた」とコメント。伊藤忠は「循環型経済の実現に向け、SAFと環境価値取引の普及を進める」と表明し、ENEOSは原料調達から製造・販売までの体制を生かし「温室効果ガス削減に貢献する」と述べた。
Scope3環境価値取引は、航空会社や空港だけでなく物流・金融・製造など幅広い業種を巻き込み、バリューチェーン全体で排出削減を促す新たな仕組みとして注目されている。