「先住民主導」を組み込み透明性を強化、Equitable EarthがCOP30でREDD+新基準を発表

村山 大翔

村山 大翔

「「先住民主導」を組み込み透明性を強化、Equitable EarthがCOP30でREDD+新基準を発表」のアイキャッチ画像

ブラジル・ベレンで開催中のCOP30の開催地において、カーボンスタンダード策定組織であるエクイタブル・アース(Equitable Earth)は、森林保全プロジェクトにおけるカーボンクレジットの創出と取引方法を刷新する新たなREDD+手法「M002」を正式に発表した。

この新しいフレームワークは、計画外の森林破壊と劣化を回避するためのREDD+システムをアップデートし、特に地域社会主導の保全活動に対する認証を合理化するように設計されている。M002は、先住民の参画と、一貫性・透明性の高い炭素会計を保証するために開発され、すでにブラジル、コロンビア、コンゴ民主共和国の400万ヘクタール(約4万平方キロメートル)以上の森林が、この基準による認証プロセスに入っている。

M002ICVCM承認プログラム、先住民の権利と利益を明確化

M002は、2023年に125人以上の先住民リーダー、科学者、保全専門家を結集させたエクイタブル・アース連合(Equitable Earth Coalition)の基盤の上に構築された。この基準は、ICVCMによって承認されたプログラムに基づいている。

エクイタブル・アースの最高経営責任者(CEO)であるティボー・ソレット氏は「我々は世界の生態系を保護し、同時に回復させることを緊急に必要としている」と述べ、「M002によって、その両方を可能にする手法を拡大した」と指摘した。

特にM002は、Livelihoods Pillar(生活基盤の柱)を通じて利益共有の規則を明確化している。これにより、先住民や地域社会に対する測定可能な成果を義務付け、意思決定への共同参画と公正で信頼性の高い影響力を保証する。フォレスト・トレンズ(Forest Trends)のディレクターであるベト・ボルジェス氏は、「森林を保護することは、そこに住む人々の権利とリーダーシップを認めることを意味する」と述べ、この新しいフレームワークが気候変動ファイナンスの重大な転換点となることを強調した。

独立した炭素会計とリモートセンシングで信頼性を担保

M002は、信頼できるREDD+資金調達における長年の課題に対処するため、複数の革新的な要素を導入している。

  • 集中・独立した炭素会計
    エクイタブル・アースが内部で森林バイオマス変化の計算と森林破壊・劣化の監視を一元的に実施する。これにより、均一で保守的なアプローチを用い、透明性・一貫性のあるカーボンクレジット化を市場全体に提供する。
  • 高度なリモートセンシング技術
    先進技術を活用し、森林の劣化を含むバイオマスの総損失を監視。カーボンクレジットが森林損失の全体像を正確に反映することを保証する。

Equitable Earthは、今後もREDD+対象地域全てをカバーすることを目指し、リスクマップを継続的に開発していく計画である。また、M002の手法は、泥炭地などの追加の生態系や、炭素除去(CDR)プロジェクトを含むように拡大される予定であり、高信頼性カーボン市場の進化を牽引していく構えだ。

参考:https://www.eq-earth.com/blog/equitable-earth-launches-new-redd-methodology-at-cop30-to-accelerate-high-integrity-community-led-forest-conservation