「洋上CO2直接回収(DOC)」技術、商用展開へ「ゴーサイン」 EquinorとCapturaが「CDRクレジット市場の信頼性」を検証

村山 大翔

村山 大翔

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ノルウェーのエネルギー大手エクイノール(Equinor)と、海洋からのCO2直接回収(DOC)技術を開発するカプチュラ(Captura)は、DOCシステムが商用展開可能であることを示す技術的資格認定プログラムを完了した。この検証の成功は、エンジニアード炭素除去(CDR)技術に基づくカーボンクレジットの信頼性と市場拡大に弾みをつける重要な節目となる。

検証の焦点とMRV基準

両社は2年間の協業を経て、ハワイ州コナの年間1,000トン(t)規模の共同パイロット施設で1年間にわたる包括的な評価を実施した。このプログラムでは、特にカーボン除去効率、運用信頼性、そして測定・報告・検証(MRV)の正確性をはじめとする20の主要指標に対し、DOCシステムの性能を厳格に評価。これにより、生成されるCDRクレジットが最高水準の市場基準に合致することが実証された。

商用展開とスケールアップ

評価の結果、システムは商用展開の「ゴーサイン」を獲得し、商業化に向けた大きな一歩を踏み出した。カプチュラは現在、欧州、英国、そしてアジア太平洋地域を含む候補地で、年間30,000tから50,000tのCO2回収能力を持つ初の商用スケールDOCプロジェクトの設計を進めている。この規模は、初期段階のCDRプロジェクトとしては意欲的な目標とされる。

市場との関係

DOC技術は、海水からCO2を抽出し、永久貯留または産業利用のための処理を行うエンジニアードCDR手法である。カプチュラはすでに2025年3月、日本の株式会社商船三井との間で、世界初となるDOC由来のCO2除去クレジット購買契約を締結しており、今回の技術検証完了は、将来のオフテイカー(クレジット購入者)に対する信頼性を裏付けるものとなる。

カプチュラのスティーブ・オールダム最高経営責任者(CEO)は、「グローバルなエネルギーリーダーであるエクイノールの深い専門知識は、大規模展開に必要な厳しい基準に対し、当社の技術を検証するために不可欠な厳格さをもたらした」と述べ、市場投入に向けた重要なステップであることを強調した。エクイノールのカーボン除去マネージャーであるライオネル・リベイロ氏も、「この協力的な取り組みは、技術的なリスクを低減しただけでなく、確立されたテスト計画とマイルストーンを通じて、その拡張性も実証した」とコメントし、DOC技術が多様な戦略的パートナーを惹きつける能力が、今後のスケールアップの可能性をさらに裏付けていると指摘した。

参考:https://capturacorp.com/technology/