国際航空の排出削減制度「CORSIA」に対応するカーボンクレジットの供給を目指し、国際認証機関ベラ(Verra)が制度運用の最終段階に入った。2025年11月5日、同社は2021年以降に発行されたカーボンクレジットをCORSIA適格としてラベル付与するための主要手続きを完了したと発表した。
ベラは、ダブルカウント(同一の排出削減量をホスト国と航空会社の双方が主張する事態)に備えた保険商品の要件を最終確定した。これにより、ベラの承認基準を満たした保険商品を活用したカーボンクレジットは、CORSIAの下で使用可能となる。また、保険会社が「CORSIA会計表示契約書(CORSIA Accounting Representation Deed)」に署名することで、万が一ダブルカウントが発生した際には補償を行うことを明示する仕組みも整えた。
ベラの「CORSIAラベルガイダンス」によれば、2021年以降に発行されたヴェラ認証カーボン単位(VCU)がCORSIAラベルを得るには、まずパリ協定第6条の下でホスト国が明示的に使用を認可した「第6条ラベル(Article 6 label)」を取得する必要がある。さらに、以下のいずれかの条件を満たすことが求められる。
- 排出削減量に対する「対応調整(corresponding adjustment)」が完了していること
- または、CORSIA会計表示契約書への署名と、ヴェラが承認した保険商品の保険証書を提出していること
ベラは2025年8月、グローバル保険仲介会社ハウデン(Howden)を起用し、保険商品がCORSIA基準を満たしているかを審査する枠組みを構築した。対象保険商品のリストは近日中に公表される見通しだ。
現在、ベラの認証制度「検証済みカーボンスタンダード(VCS)プログラム」は、CORSIAの第1期(2024〜2026年)において適格と認められている。ベラは2025年3月、国際民間航空機関(ICAO)技術諮問委員会に対し、第2期(2027〜2029年)の再認定申請を提出しており、近くICAO理事会による適格性判断が下される予定である。
ベラは今後、保険制度を通じてダブルカウントリスクを管理し、CORSIA下でのカーボンクレジット取引の透明性と信頼性を確保することを目指す。
参考:https://verra.org/verra-approaches-full-operationalization-of-corsia-eligibility/