英国ロンドンの廃棄物処理大手コリー(Cory)は、同社がロンドン南東部ベルベデアで運営するリバーサイド廃棄物発電施設において、二酸化炭素回収・貯留(CCS)システムを建設する計画について、英エネルギー安全・ネットゼロ省(Department for Energy Security and Net Zero)の開発認可命令(Development Consent Order)の承認を正式に取得した。
同社が同計画を初めて発表してから約4年を経ての承認となる。これにより、同国で最大規模となる「廃棄物発電×CCS」プロジェクトが始動する見通しだ。コリーによると、このCCSシステムは年間約140万トンのCO2を回収できると見込まれている。
プロジェクトでは、同社が200年以上にわたりテムズ川で培ってきた海運ノウハウを活用し、リバーサイドで液化したCO2を船舶で北海の海底貯留地へ輸送する計画である。コリーのダギー・サザーランド最高経営責任者(CEO)は、「船舶輸送を採用することで、ロンドンの“グリーン・ハイウェイ”であるテムズ川を活用しつつ、地理的制約にとらわれない脱炭素化ルートを切り拓く」と述べた。
同氏はさらに、「これは英国で最も進んだ“非パイプライン型”のCCS輸送プロジェクトだ」と強調している。
このCCS導入により、ロンドン市の気候目標に沿った大規模な排出削減が可能となり、同時に高品質な「エンジニアード・カーボンリムーバル(人工的炭素除去)」を生み出すことが期待されている。
2023年、コリーはハーバー・エナジーと英石油大手bpが主導するハンバー地域の二酸化炭素輸送・貯留ネットワーク「バイキングCCS(Viking CCS)」、および英国最大の港湾運営会社アソシエーテッド・ブリティッシュ・ポーツ(Associated British Ports:ABP)と提携を発表していた。
この提携の下で、コリーは捕集したCO2をABPが運営するインミンガム港へ船舶輸送し、新設予定のCO2受入ターミナルを経て、北海南部の枯渇ガス田「バイキング貯留地」に永久貯留する計画である。
バイキングCCSは声明で、「コリーと緊密に協力し、将来的に彼らが捕集する炭素を南部北海のバイキング貯留地で安全に保管できることを誇りに思う。これは英国各地域が連携して経済成長と脱炭素化を同時に実現する好例だ」と述べた。
今回の承認は、英国政府が掲げるネットゼロ目標の達成に向け、廃棄物発電分野を含む多様な排出源へのCCS導入を加速させる一環とみられる。
参考:https://www.corygroup.co.uk/media/news-insights/secretary-state-energy-security-and-net-zero-approves-corys-ccs-plans/