ラテンアメリカ版「CO2除去」戦略始動 Carbon Business Councilが新設グループ立ち上げ、COP30へ照準

村山 大翔

村山 大翔

「ラテンアメリカ版「CO2除去」戦略始動 Carbon Business Councilが新設グループ立ち上げ、COP30へ照準」のアイキャッチ画像

国際的な炭素管理企業連合であるカーボン・ビジネス・カウンシル(Carbon Business Council, CBC)は11月5日、「ラテンアメリカ炭素除去(CDR)ワーキンググループ」の設立を発表した。100社を超える加盟企業を擁する同カウンシルは、同地域での投資促進と脱炭素技術の実装を加速させる狙いだ。活動の中心地は、11月10日からブラジル・ベレンで開かれる国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)になる。

新設のワーキンググループは、CDR技術の地域展開と政策形成への参画強化を目的とし、認証団体、保険会社、銀行、プロジェクト開発企業など、炭素市場のバリューチェーン全体から主要プレーヤーを結集した。

議長には、国際的な気候・エネルギー交渉で豊富な経験を持つアイザック・デ・レオン・メンドーサ氏が就任した。同氏は、「ラテンアメリカは炭素除去の未来において中心的役割を担う。地域の専門知識を国際的ネットワークと結びつけ、金融・教育・政策面の橋渡しを進める」と述べた。

参加企業には、ブーミトラ(Boomitra)、カーボンフューチャー(CarbonFuture)、セルカルボノ(CERCARBONO)、エクソマド・グリーン(Exomad Green)、インプラネット(InPlanet)、三菱商事、KfW(ドイツ復興金融公庫)などが名を連ねる。主要な開発銀行や地域金融機関も参画予定で、官民資金の動員と高品質CDRプロジェクトの拡大を後押しする。

CBCのベン・ルービン事務局長は、「COP30はラテンアメリカがCDRの世界的リーダーとして台頭する可能性を示す舞台だ。地域の人材と資源、意志を具体的な成果と投資に結びつける」と強調した。

同グループは、2026年初頭に「投資ロードマップ」を発表する計画で、CDR手法のスケール化と資金動員の方向性を示す見通し。これにより、国際的な高信頼性クレジットの生成や、各国のカーボンリムーバル市場への参加拡大が期待される。

CBCは今年初め、カナダでのCDRワーキンググループ設立を発表しており、今回のラテンアメリカ展開は欧州を含むグローバル拡張戦略の一環と位置づけられている。

参考:https://www.carbonbusinesscouncil.org/news/grupo-de-trabajo-america-latina