炭素除去(CDR)分野に特化したアクセラレーター「リムーブ(remove)」は11月5日、欧州CDRスタートアップ加速プログラム「ヨーロッパCDRアクセラレーター・コホート8(Cohort 8)」の採択企業16社を発表した。3か月にわたる公募期間には多数の高品質な提案が寄せられ、選考を経て次世代のCDR技術を担う有望企業が選出された。
今回選ばれたスタートアップは、基礎支援段階(Foundationsステージ)に進み、個別指導、ネットワーキング機会、非希薄化型資金(出資を伴わない助成)などの支援を受ける。成果を上げた企業は次段階の「Leap」ステージに進み、最大約1,760万円(15,000ユーロ)の助成金を受け取ることができる。この助成金は返還型であり、事業が順調に自走化した企業から返済された資金は次期コホートの支援に充てられる仕組みだ。
採択企業には、バイオ炭を活用して大気中CO2を固定するPure Hawa、Restord、Exothermite、Circular Carbon Pathwaysのほか、高高度でのCO2吸収を狙うAlpine X、直接空気回収(DAC)技術を手掛けるfourtyfour、CO₂Zero、Korall、さらにDACと炭素回収・貯留(CCUS)を組み合わせるLightnet Carbon Captureなどが含まれる。
自然由来のCDR分野では、岩石風化促進を利用するCarbondrop™、森林再生・保護のRelio、藻類によるCDRのBioBright、泥炭地回復を進めるReStore Carbonなどが名を連ねた。また、建設資材の鉱物化による炭素固定を進めるCarbonway、廃棄物からサステナブル建材を製造するReaformaも採択されている。
リムーブは、環境保護のためのグランサム財団(The Grantham Foundation for the Protection of the Environment)、カーボン・リムーバル・パートナーズ(Carbon Removal Partners)、ドーン財団(The DOEN Foundation)などが支援する、世界有数のCDR専門アクセラレーターである。同社は「応募の質が年々高まっており、CDR業界の成熟を示している。今後もこの分野をけん引するスタートアップを支援していく」とコメントした。