サグリ 農地の「カーボントレーサビリティ」を可視化 脱炭素算定基盤『SagriVision』を正式リリース

村山 大翔

村山 大翔

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2025年10月31日、サグリは、農業セクター向けの脱炭素算定デジタルプロダクト『SagriVision(サグリビジョン)』を正式リリースした。国際的な温室効果ガス算定基準「SBTi-FLAG」やGHGプロトコルの「土地セクターおよび除去ガイダンス(LSRG)」に準拠した測定・報告・検証(MRV)基盤を提供し、農地由来の炭素除去(CDR)を科学的かつ透明に評価できる仕組みを構築する。

『SagriVision』は、農業現場から企業のサプライチェーンまでを対象に、炭素データの収集・算定・報告を一気通貫で支援する。専門知識がなくても、農場ごとのデータをもとに自動で炭素除去量を可視化し、企業レベルでの報告書作成や第三者監査にも対応可能となる。

SBTi-FLAG対応で求められる「科学的炭素算定」を自動化

背景には、SBTiが2023年に発表したFLAGガイダンスがある。農業や土地利用を含むサプライチェーンに対して、温室効果ガス(GHG)排出量・除去量を定量的に測定することが求められている。

農地は排出源であると同時に、土壌に炭素を貯留する「炭素除去源」としても注目される。サグリは、衛星データ解析とAI技術を活用し、農地ごとの炭素貯留量を高精度に算定するアルゴリズムを開発。農家がスマートフォンから直接データを入力できる「モバイルファースト設計」により、オフライン環境や多言語にも対応する。

二重計上を防ぐ「炭素トレーサビリティ」機能

『SagriVision』の最大の特徴は、農場単位から企業レベルまで炭素除去量を一貫して追跡できる点にある。生産現場と調達データをリンクさせることで、ダブルカウントを防ぎ、信頼性の高いインベントリ管理を実現する。これにより、食品・農業関連企業が脱炭素経営を行う上で、サプライチェーン全体の算定精度を大幅に向上させることができる。

カーボンクレジット創出にも拡張対応

サグリは今後、『SagriVision』を国際的なカーボンクレジット制度にも対応させる方針を示した。具体的には、ベラ(Verra)が定める「改良農地管理(VM0042)」や「デジタル土壌マッピング(VT0014)」といった方法論を組み込み、炭素除去量の検証・認証プロセスを自動化する計画である。将来的には、農地単位でのカーボンクレジット発行を支援し、農業従事者に新たな収益源をもたらす可能性もある。

今後、農地のカーボントレーサビリティ確立により、持続可能な農業と環境再生を両立させるデジタルインフラとしての役割拡大を目指す。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000171.000040885.html