エジプト 「初のカーボンクレジット格付け機関」設立へ 市場信頼と投資保険制度を整備

村山 大翔

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エジプト金融監督庁(FRA)は、カーボン削減証書(カーボンクレジット)の信頼性向上と市場拡大を目的に、同国初となるカーボンクレジット格付け機関の設立に向けた制度設計を進めている。FRA傘下の金融サービス研究所のターレク・セイフ所長が10月24日、非銀行金融部門の発展に関するワークショップで明らかにした。

セイフ氏によると、格付け機関はカーボン削減証書の環境的効果と金融的価値の双方を評価する仕組みを導入し、ボランタリーカーボンクレジット市場(VCM)の信頼性を高める狙いがある。また、FRAはカーボン削減プロジェクト向けの包括的な保険制度も策定中で、運営上のリスク、自然災害、信用リスク、政治リスク、価格変動などをカバーするという。

同庁はすでに再生可能エネルギー証書(I-REC)を金融商品として取引できるようにする関連規制を整備済みで、資本市場法の改正により取引が可能になっている。さらに、カーボン証書のデジタル取引基盤の整備を進めており、所有権移転や店頭先物取引のルール策定を最終段階にある。

今回の取り組みは、環境持続性を経済全体に統合することを掲げた「エジプト・ビジョン2030」に沿うものであり、同国のグリーンファイナンス・エコシステムの強化を目指す。格付けと保険の導入は、カーボンクレジット市場の透明性と投資家信頼を高め、アフリカ地域における炭素取引の中心地を目指すエジプトの戦略の一環とみられる。

参考:https://sis.gov.eg/en/media-center/news/egypt-to-establish-first-carbon-credit-rating-agency/