イスラエル拠点のDAC企業RepAirは、革新的な電気機械式DAC技術の商用化に向け、シリーズAラウンドで1,500万ドルの資金調達に成功したと発表しました。
本ラウンドは、Taranis Carbon VenturesとExtantia Capitalが主導し、Ormat Technologies、Repsolが参加。さらに、イスラエルイノベーション庁から300万ドルの助成金も獲得しています。
70%少ないエネルギー消費でCO2回収 RepAir独自のDAC技術とは?
RepAirの技術は、従来型CDR方式に比べてエネルギー消費量を70%削減できる点が最大の特徴です。
その仕組みは、以下の通りです。
- カソードとアノード電極をセパレータープレートを挟んで配置。
- 大気中の空気をカソード側に取り込み、電流を流すことで水酸化物イオンを発生。
- 水酸化物イオンがセパレーターを越えてきたCO2分子を捕捉し、残った空気は大気へ戻す。
この技術は、大気中DACだけでなく、ガスタービンやアルミ精錬工場といった産業現場の希薄排ガスからのCO2回収にも応用可能で、スケール性の高さが期待されています。
商用化に向けた次のステップ
今回の資金調達により、RepAirは以下に注力していきます。
- 技術開発とエンジニアリング能力のさらなる向上
- 生産体制の強化
- 業界大手とのデモンストレーションパートナーシップ構築
また、AI時代のデータセンターによる爆発的な電力需要増を背景に、従来の脱炭素手法では対応できない課題にも取り組む方針です。
RepAir CEO兼共同創業者 アミール・シナー氏は「AIによる前例のないエネルギー需要の高まりに、再生可能エネルギーだけでは対応しきれないことを企業は認識し始めています。ガスタービンメーカーやアルミニウム生産者、ギガファクトリーを運営するOEM企業など、広範な産業から強い引き合いを受けています。」と述べています。
大きな市場機会「希薄排ガス」領域をターゲットに
RepAirは、従来技術が対応困難だった低濃度CO2排ガス(例:ガスタービン、アルミ工場など)に対応可能なソリューションを武器に、ギガトンスケールのCDR市場開拓を目指しています。
2040年までにギガトン級CO2除去目標達成を掲げており、今後の動向に注目です。