エネルギー大手エクソンモービルは、アメリカ最大の天然ガス発電事業者であるカルパイン(Calpine Corporation)と、年間最大200万トンのCO2を回収・輸送・永久貯留する契約を締結しました。対象となるのは、テキサス州ヒューストン近郊にあるベイタウン・エナジーセンターです。
このCO2は、カルパインが進めるCCSプロジェクトの一環として捕集され、世界最大規模を誇るエクソンモービルの米国湾岸CO2パイプライン網を通じて輸送・貯留される予定です。
低炭素電力500MWを供給、5万世帯以上をカバー
ベイタウンプロジェクトは、約500メガワットの低炭素電力を供給する計画で、これは50万世帯以上の電力需要に相当します。さらに、近隣の産業施設向けにスチーム供給も予定されています。
現在、プロジェクトは設計・許認可手続き段階にあり、建設フェーズでは多くの雇用創出も期待されています。
エクソンモービル・ロー・カーボン・ソリューションズ社長バリー・イングル氏は、「このプロジェクトは、アメリカのエネルギー安全保障を支え、産業競争力を高める重要な一歩です。当社のエンド・ツー・エンドCCSシステムに対する多様な業界の信頼が着実に高まっています。」とコメントしています。
カーボンニュートラルへの現実的解 ガス火力×CCSのモデルケースに
カルパインの執行副社長ケイレブ・スティーブンソン氏も、「天然ガス発電は今後数十年にわたり電力網の基盤であり続けるでしょう。CCSは、持続可能でコスト効率の高い道筋を示すものです。安価な天然ガスと地層貯留の資源を最大限活用することで、アメリカのエネルギー強靭性と雇用創出を強化できます。」と述べました。
今回の契約により、エクソンモービルが確保した年間CO2契約量は約1,600万トンに達しました。発電、製鉄、肥料、産業ガス、天然ガス処理など、多様な業界でのCCS採用が加速していることがわかります。
政策支援と規制承認が今後の鍵に
ただし、プロジェクトの最終進展には政策支援と必要な規制承認が不可欠です。アメリカ国内では、CCSを後押しする動きが進む一方で、実際の事業化には依然として高いハードルも存在します。