- 欧州・インド150社以上と対話して見えた「CDR×VC資金調達のリアル」removeとETHチューリッヒの共同レポートが公開
- 8つの主要インサイト、投資家がCDRに求めるもの
欧州・インド150社以上と対話して見えた「CDR×VC資金調達のリアル」removeとETHチューリッヒの共同レポートが公開
脱炭素分野のスタートアップにとって「資金調達」は最大の壁のひとつ。そんな現場の悩みに応える形で、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)のサステナビリティ・ビジネス研究所(sus.lab)と、CDRエコシステム支援を行うremoveが共同レポートを発表した。
レポートは、欧州およびインドに拠点を置く150社以上のCDRスタートアップとの交流と、CDR分野に投資実績のあるVC15社+資金調達に成功したスタートアップ5社へのヒアリングをもとに構成された。
8つの主要インサイト、投資家がCDRに求めるもの
① 脱炭素投資家は一枚岩ではない
脱炭素分野に参入するVCは科学的意義・社会性の重視派、商業化・スケーラビリティ重視派、インパクト重視派などタイプが多様。「投資家ごとの温度感・哲学を把握した提案」が重要とされた。
② 政策依存型モデルは評価されにくい
「カーボンプライシング頼み」など制度に依存した収益モデルは敬遠されやすい。規制に左右されずに自立できるビジネスモデルが求められている。
③ 自社CDRが“B2Bソリューション”であるかを明確化
投資家は「企業向けに展開できる拡張性あるCDRモデル」に注目。バリューチェーンやオフテイカーとのつながりを示すことが高評価の鍵となる。
④ 顧客エンゲージメントの深さを可視化せよ
売上が出ていない段階でも、早期ユーザーとの実証・フィードバック履歴や共同開発契約の提示が信頼獲得につながる。
⑤ 明確なTEA(Techno-Economic Assessment)を持つ
単なる概念ではなく、定量的な経済合理性の裏付け(TEA)が必要。初期~中期のCDRスタートアップには、特にマストな投資判断材料とされる。
⑥ 数値前提の客観性を重視
マーケット規模や技術的スケーラビリティなどの予測は“ボトムアップで再現性がある”ことが前提。空想ではなく、実務的な確度を持つ計画が評価される。
⑦ マルチスキル人材が運営に関与しているか
技術×事業開発×ファイナンス×戦略を内包した「CDRの複雑性に耐えられる経営チーム構成」が求められる。
⑧ 投資家コミュニケーションは最優先チャネル
医療・SaaS・製造など他業界との比較では、CDR領域は「対VC関係構築」の優先度が極めて高い。ニュースレターやイベントより、1対1の信頼醸成が重視される。
CDR市場は、XPRIZEや米国DOEの支援を背景に“ブーム”から“事業実装フェーズ”へと移行中。だがその過程で、資金調達の壁で停滞するスタートアップも少なくない。
特に日本市場では、CDR事業のプレイヤー育成が遅れており、このような国際的ベストプラクティスの集約は非常に貴重だ。
参照:https://cdr.remove.global/cdr-report-eth-sus.lab-x-remove-3rd

