Tradewaterと共同開発、炭素市場と環境リスクの双方に対応
グローバル保険仲介大手Aonは14日、米国における放棄油井の閉塞作業(well plugging)に伴うリスクを軽減する新たな保険商品「Plug and Well Exit Liability」を発表した。本商品は、環境リスク管理を専門とするTradewater社との共同開発によるもので、放棄井戸処理に伴う財務・法的リスクをカバーすることで、炭素市場全体の信頼性と投資安全性を向上させる狙いがある。
カーボンクレジット市場と放棄井戸問題
米国では、老朽化した放棄井戸や孤立井が温室効果ガス、とりわけメタンの重大な排出源となっており、その封鎖は重要な気候対策とされている。井戸の適切な閉塞によって排出削減が達成されると、カーボンクレジットが発行され、プロジェクト資金の一部がまかなわれる仕組みが確立されつつある。
Aonによると、放棄油井の数は2021年から2022年にかけて5.4%増加し、孤立井の記録数は直近3年間で53%増加している。この傾向により、今後のwell-plugging事業の市場規模は拡大が見込まれる。
新保険商品の特徴と意義
「Plug and Well Exit Liability」は、放棄井戸の封鎖作業に伴う残存リスクや州規制当局との関係性を考慮し、同機関を保険対象に加えることができる柔軟性を備えている。また、該当プロジェクトから発行されるカーボンクレジットの購入者や投資家にも安心材料を提供し、信頼性の高いクレジット供給を促進する。
Aonの構造化信用・政治リスク部門の責任者であるジョン・マイナー氏は、「本保険商品は、炭素除去と閉塞作業の両分野における成長と回復力を支える」と述べている。
TradewaterのCEO、ティム・ブラウン氏も、「高い信頼性を持ち、影響力のある炭素クレジットを創出するという当社の目標に対し、Aonは保険という形でさらなる保証層を提供してくれた」と語った。