DAC技術に建設大手が投資 オランダCarbyon、仏ブイグ系VCと提携

村山 大翔

村山 大翔

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オランダのカーボン回収スタートアップCarbyon(カービオン)は7月1日、フランスの大手建設会社Bouygues(ブイグ)系のベンチャーファンドISAI Build Venture(アイエスエーアイ・ビルド・ベンチャー)から新たな資金調達を行った。2024年9月に完了したシリーズAラウンド(約28億5,000万円)の追加調達で、CO2を大気から直接回収する技術の量産とコスト削減を進める。

Carbyonは2019年にオランダの研究機関TNOから生まれたスタートアップで、創業者はHans De Neve(ハンス・デ・ネーブ)氏。大気中のCO2を効率よく回収する特許技術「ファスト・スイング」を持ち、従来のフィルターより約200倍速くCO2を回収できるのが特徴だ。回収したCO2は地下に貯めるだけでなく、持続可能な航空燃料(SAF)、e-メタン、e-メタノールなどの製造にも使う計画だ。

今回の出資元であるISAI Build Ventureは、脱炭素技術を持つスタートアップに投資するフランスのファンドで、ブイグが技術支援も行う。ブイグは建設やエネルギーの分野で持つ知見を生かし、Carbyonの装置を大規模に展開する体制づくりを支援する。今後、ブイグの建設プロジェクトなどでCarbyonのカーボン回収技術が使われる可能性もある。

Carbyonは2022年にカナダでCO2回収の実証実験に選ばれ、米XPRIZEカーボンリムーバルで約1億6,000万円の賞金を獲得するなど、低コストで大規模にCO2を回収できる技術として国際的に注目されている。今年6月にはフランスのテックイベント「VivaTech2025」でブースを出展し、マクロン大統領が視察する場面もあった。

今回の提携を機に、CarbyonはCO2回収装置の製造コストをさらに下げ、早ければ2026年から商用プロジェクトでのカーボンクレジット発行を目指す見通しだ。

参考:https://www.carbyon.com/news/carbyon-secures-strategic-investment-from-isai