ブラジルの再生林スタートアップMombakがシリーズAで3,000万ドルの資金調達

村山 大翔

村山 大翔

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アマゾンのリジェネラティブプロジェクトが急拡大、カーボンクレジットの国際需要に対応

ブラジル発の再森林化スタートアップ Mombak は、Union Square Ventures(USV) 主導によるシリーズA資金調達ラウンドで3,000万ドルの資金を確保した。今後のスケーリングに向けた事業展開を加速させる構えだ。

Mombakは農地や放牧地など劣化した土地をアマゾン熱帯雨林へと再生し、そのプロセスで吸収されたCO2をカーボンクレジット化。それをGoogle、Microsoft、Meta、McLaren Racing など、国際的な企業に販売している。

3,000万ドル調達の背景と目的

今回の資金調達では、USVのほか、既存投資家である Kaszek、Bain Capital、AXA IM Altsに加え、Lowercarbon Capital、Copa Investimentos といった新たな出資者も参画。

Mombak共同創業者のガブリエル・シルバ氏は、「スタートアップフェーズからスケールアップフェーズに移行するタイミングだった」と語り、今回の資金は植林面積の拡大・運営体制の整備に充てられる予定だという。

  • 現在:45,000ac(マンハッタンの約3倍)で500万本の原生種を植林済
  • 目標:2025年6月までに800万本に到達予定

CDR分野での国際競争力

Mombakは既に1億5,000万ドル相当のオフテイク契約を締結しており、2025年中にはその4倍まで拡大する見通しだ。設立は2021年、これまでに総額2億ドル超の投資を集めている。

USVのマネージングパートナー、アンディ・ワイスマン氏は「CDRは21世紀を代表する産業になる。Mombakの活動はアマゾンを“気候修復のエンジン”に変える使命を担っている」とコメントした。

国際企業が続々とブラジルCDRへ関心

ブラジルでは最近、Biomasre.greenなどの再森林化スタートアップも活発に動いており、カーボン除去事業への国際的な関心が高まっている。

特にアマゾン地域は、生物多様性の保全とカーボンシンク(CO2吸収源)としての役割を兼ね備えており、「自然を活かしたCDR(NbCDR)」の最前線として注目される存在だ。

日本企業にとっての示唆

日本企業がネットゼロを達成するうえで、高品質な自然由来クレジットの調達は不可欠となっており、Mombakのような透明性の高いリジェネラティブ・プロジェクトは有力な選択肢となる。

今後、ブラジルをはじめとしたグローバルサウスの森林由来CDRとの連携を模索する動きは、日本でもますます活発化する可能性がある。

参照:https://www.linkedin.com/posts/mombak1_were-thrilled-to-share-the-news-of-mombak-activity-7323315205906620416-DF5u