バイオ炭、ERWなど革新的なCDR技術に3,200万ドル拠出へ EU、2025年版LIFEプログラムでCDR支援を本格化

村山 大翔

村山 大翔

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EUは、気候変動対策の中核プログラムである「LIFEプログラム」の2025年版において、CDR関連プロジェクトに最大3,200万ドルの資金拠出を行うことを発表した。
本プログラムは、2030年までにEU全体の温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも55%削減
するという野心的目標の一環として、革新的な炭素除去技術の実証と事業化支援を目的としている。

支援対象となるCDR技術、自然由来と技術融合型の両面から

今回の支援では以下のCDR技術が対象となる。

  • バイオ炭(biochar)
  • 強化風化(ERW: Enhanced Rock Weathering)
  • 海洋アルカリ強化(OAE: Ocean Alkalinity Enhancement)
  • 海洋直接回収(DOC: Direct Ocean Capture)
  • 小規模バイオCCS(bioCCS)

EUはこれらの技術に対し、コスト・資源効率性の高い選択肢の特定とスケーラブルなビジネスモデル構築を目的として資金提供を行う。加えて、MRV体制の強化を通じて、除去効果の透明性と信頼性を担保する仕組みも併せて支援する。

LIFEプログラムと欧州グリーンディールの関係

LIFEプログラムは2021年〜2027年の7年間で運用されており、「自然と生物多様性」「循環経済と生活の質」「クリーンエネルギー移行」「気候変動緩和と適応」の4つのサブプログラムで構成されている。
本プログラムはEUの環境・気候政策の要である「欧州グリーンディール」を支える資金的基盤でもあり、最終的には2050年ネットゼロ社会の構築を目指している。

参照:https://cinea.ec.europa.eu/news-events/news/life-calls-proposals-2025-claim-your-share-eu600-million-and-help-create-sustainable-future-europe-2025-04-24_en