MASH Makes製バイオ燃料を搭載
デンマークの海運企業Nordenが、カーボンネガティブなバイオ燃料を使用した初の航海を成功裏に完了した。航路はシンガポールからブラジルまでで、使用された燃料65トンのうち、20%がMASH Makes製のバイオ燃料で構成されている。
この成果は、船舶の脱炭素化に向けた重要な一歩であり、バイオ燃料の実用性と、炭素除去を両立させた新たなサプライチェーンの確立に寄与するものだ。
MASH Makesとは、バイオチャーとバイオオイルのハイブリッド生産
MASH Makesは、インドとデンマークを拠点にするカーボンリムーバル企業であり、農業残渣を高温・無酸素下で熱分解することで、以下を生成している。
- ISO8217規格準拠のバイオオイル(年産3,400トン)
- バイオチャー(年産数千トン)
同社の燃料製造工程では、1トンのバイオオイル生成に対して1.8トンのバイオチャーが生まれ、このバイオチャーが3.14トンのCO2を土壌に恒久貯留できるという。結果として、1トンのバイオ燃料で5.7トンのCO2が除去される計算となる。
船舶適応性と拡張性、Nordenの脱炭素戦略に寄与
今回の航海により、MASH Makes製バイオ燃料が実際の船舶エンジンで無改造で使用可能であることが証明された。ノルデン社の気候・脱炭素責任者Henrik Røjel氏は、「この試験航海は、海運業界における本燃料の有効性と可能性を示す重要なマイルストーン」と述べている。
MASH MakesのCEO Jakob Bejbro Andersen氏も、「我々のバイオ燃料は、船舶の既存エンジンで即座に利用可能な、シームレスかつスケーラブルな脱炭素解決策である」と語っている。
年産7,000トン体制へ拡大
現在、MASH Makesはインド・カルナータカ州ウドゥピ地区の施設を拡張中で、2026年までに年間7,000トンのバイオオイルと14,000トンのバイオチャー生産体制を構築予定だ。
さらに、生成されたバイオチャーは現地農家に無償・低価格で提供され、作物収量の向上や土壌改善にも寄与している。