中国IT大手テンセント、100万トンCO2超の長期カーボンクレジット契約

村山 大翔

村山 大翔

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中国のIT大手テンセントは、シンガポールの政府系投資会社テマセク傘下のGenZeroと長期カーボンクレジット契約を締結した。これにより、同社は15年間で100万トン以上の温室効果ガス(GHG)削減を目指す。高品質な気候プロジェクトへの資金提供を通じて、透明性と信頼性のあるカーボンクレジットマーケット形成を後押しする構えだ。

この契約により、テンセントはGenZeroが保有するカーボンクレジット・ポートフォリオから、少なくとも100万クレジットを購入する。契約期間は15年に及び、これはアジア地域でも異例の長期的な気候ファイナンスの取り組みといえる。

カーボンクレジットは、国際的な認証基準であるVerraやGold Standard、またはパリ協定第6条に準拠したプロジェクトから発行されるものに限定される。これにより、削減量の「実在性」「測定可能性」「検証可能性」が確保され、いわゆるグリーンウォッシングへの懸念に対応する仕組みが整う。

対象プロジェクトは、主に資金不足が課題となる地域で展開される見込みだ。現地コミュニティの生計向上や自然資本の保全といったco-benefitsも重視されており、単なるカーボンオフセットを超えた包括的なインパクト創出が目指される。

両社は、カーボンプロジェクトの事前評価(プレフィージビリティ)を行い、デジタル技術を活用したdMRV体制を整備するとしている。これは、クレジットの質を担保すると同時に、カーボンクレジットマーケットにおける信頼回復への貢献を意図している。

GenZeroのCEOフレデリック・テオ氏は、「自然資本に根差した解決策やテクノロジー主導の革新を加速させる投資戦略と合致する」とコメント。テンセントの徐浩氏も「ネットゼロに向けた革新的な金融モデルの構築を進める」と述べた。

この提携は、信頼性あるカーボン・ファイナンスによってサステナブルな企業経営を実現しようとする世界的潮流の一端を象徴している。

参照:https://genzero.co/genzero-and-tencent-forge-strategic-alliance-to-advance-climate-finance-and-carbon-market-integrity/