熱電供給施設にCCS導入、WECCS(Waste-to-Energy with CCS)向けの新規プロトコル開発にも着手

村山 大翔

村山 大翔

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英国のエネルギー・フロム・ウェイスト企業enfiniumは、ウェールズ北部のParc Adfer施設におけるカーボンキャプチャープロジェクトにおいて、カーボンレジストリ企業Isometricとの提携を発表した。プロジェクトは2030年の稼働を目指し、累計12万トンの高耐久性カーボンクレジット創出を目指す。

Parc Adferは、ウェールズ・フリントシャー州ディーサイドに位置するenfiniumのCHP(熱電併給)施設であり、年間23万トン超の残余廃棄物を処理している。今回のプロジェクトでは、約390億円(2億ポンド)を投じてCCS設備を導入し、再利用できない生ごみ等を処理する中で発生するバイオ起源CO2を回収、CDRクレジット化を図る。

この取り組みは、英国政府が推進する「HyNet Track-1 拡張プログラム」の支援候補として申請されており、残余廃棄物の脱炭素化という課題に対するモデルケースとして注目される。

enfiniumが選定したIsometricは、科学的厳密性に基づく新興のカーボン登録機関で、特に「Nergy-from-waste+CCS分野においてプロトコル策定を進めている。2024年には、MRV(計測・報告・検証)体制に基づいた排出量会計基準を提案し、生分解性廃棄物による除去量の「実効性と永続性」の検証可能性を提示している。

今回のパートナーシップでは、両社が共同でWECCS(Waste-to-Energy with CCS向けの新規プロトコル開発にも着手。enfiniumはこの分野で豊富な実績を持ち、科学的知見と実務運用に基づく制度設計に貢献する。

enfiniumのカール・スミス外部政策ディレクターは、「Parc Adferは、英国初の大規模エンジニアードCDR創出プロジェクトの一つになる」と語り、「Isometricとの提携により、クレジットの信頼性と透明性が市場や規制当局に明確に示される」と述べた。

この取り組みは、非再資源化ごみの処理と排出削減の両立というグローバルな課題に対する一つの答えとして、日本の都市型焼却インフラとの比較検討にも有用な先行事例となる。

参照:https://enfinium.co.uk/enfinium-selects-isometric-as-preferred-carbon-registry-for-parc-adfer-carbon-capture-project/