マレーシアカーボンクレジット取引所、初の自然系カーボンクレジットを7月にオークション販売

村山 大翔

村山 大翔

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熱帯雨林保全プロジェクトの発行、年80万トン削減見込む

マレーシアの証券取引所傘下にあるBursa Carbon Exchange(BCX)は、2024年7月25日、マレーシア国内で発行された自然由来のカーボンクレジットの初オークションを開催する。対象となるのは、サバ州の「クアムット熱帯雨林保全プロジェクト(Kuamut Project)」から発行されたVCU(Verified Carbon Units)で、同プロジェクトは年間80万t CO2の排出削減効果がある。

このオークションは、BCXがこれまで提供してきた国際クレジットに加え、初の国内自然系カーボンクレジット(MNC+)の提供という新たな形で、同国のカーボン市場形成における重要な転換点となる。

森林保全と地域貢献を両立する「クアムット・プロジェクト」

クアムット・プロジェクトは、サバ州トンゴッドおよびキナバタンガン地区にまたがる83,381ヘクタールの熱帯林を保護・再生する取り組みで、商業伐採が予定されていた区域において、30年間で累計1,600万t CO2の排出を回避する。

プロジェクトは、サバ森林局、Rakyat Berjaya、ヤヤサン・サバ、Permian Malaysiaとの官民連携で実施され、実地運営はPACOS TrustおよびSEARRP(東南アジア熱帯雨林研究パートナーシップ)が支援。2024年3月にVerraVCSに基づく初回認証が完了し、気候・地域社会・生物多様性に対する貢献を認められ、CCB Standardで「気候ゴールド」評価を獲得している。

対象地域には29種の哺乳類と12種の鳥類が生息し、オランウータン、バンテン、スマトラ象、ウンピョウ、サンベアなどの絶滅危惧種が含まれている。

国内市場の始動、持続可能な気候投資への転機に

ブルサ・マレーシアのCEOであるウマール・スウィフト氏は、「マレーシアの気候変動対策の中核としてVCMを確立する一歩だ」と述べ、国内外の企業による森林系・技術系プロジェクトへの投資拡大を期待している。

Permian Globalの創業者スティーブン・ラムジー氏は、「クアムットのような高品質・高影響の地上での活動と、それを支える金融インフラであるBCXの役割は、気候アクションに不可欠」と語る。

クアムット・プロジェクトは、地域住民3,000人超の生活支援や経済機会の創出にもつながっている。

参照:https://www.bursamalaysia.com/bm/about_bursa/media_centre/bursa-carbon-exchange-to-soon-begin-offering-malaysian-carbon-credits-via-auction