ドイツでのCO2除去(CDR)市場を本格的に立ち上げるには、政府の支援とインフラ整備が必要だ。エネルギー政策シンクタンクDVNE(デジタル・バリューチェーン・ネットワーク・エネルギー)と米コンサル大手ボストンコンサルティンググループ(BCG)は、7月8日に共同報告書を発表し、こう提言した。
報告書は「CDR市場構築に必要な投資と支援策」と題し、ドイツと欧州全体での市場拡大シナリオを示している。特に、欧州の排出量取引制度(EU-ETS)と連動するCDR市場の構築を提案し、投資を呼びかけている。
ドイツは2045年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げているが、そのためにはCO2の大規模な除去が不可欠になる。森林や土壌を使う自然由来の方法だけでなく、次のような技術も重要になる。
- DACCS(直接空気回収・貯留)
- BECCS(バイオエネルギー発電+CO2回収・貯留)
- バイオ炭(Biochar)
- 加速風化(Enhanced Rock Weathering)
報告書は、政府によるCDR証書の買い上げ、初期費用の助成、CCfD(カーボン価格差補填契約)といった支援策が市場成長のカギになると指摘。また、CO2の輸送や貯蔵を円滑に行うための法整備とインフラ構築も急ぐべきだとしている。
投資額は2030年までに約60億ユーロ(約1兆円)、2045年までに約900億ユーロ(約14兆7,000億円)と見積もられている。これは全体の気候投資の1%以下に相当する。CDR市場は最大700億ユーロ(約11兆4,000億円)規模に成長し、約19万人の新規雇用が生まれる可能性がある。
DVNEとBCGは「投資を遅らせればコストはさらに増える」と警鐘を鳴らしている。世界全体のCDR市場は2050年までに最大9,400億ユーロ(約147兆円)になると予測され、日本の企業や政府も国際市場の標準作りに関与する必要がある。
参考:https://dvne.org/news-de/markthochlauf-von-cdr-in-deutschland/