米スタートアップのAircelaは、5月20日、ニューヨーク市で、空気中のCO2からガソリンを生成する米国初のDAC(直接空気回収)技術を公開した。冷蔵庫サイズの装置で、その場で合成燃料を製造。インフラ改修不要で即時導入可能なクリーン燃料ソリューションを目指す。
Aircelaが開発したDAC技術は、空気中の二酸化炭素(CO2)を回収し、その場で再生可能エネルギーと水を用いてガソリンに変換するものである。装置はモジュール式で、サイズは家庭用冷蔵庫程度。既存の車両や給油インフラと互換性があり、導入の障壁が低いのが特徴だ。
2025年5月20日にニューヨーク・ガーメント地区の屋上で実施された公開実演には、ニューヨーク市議会議員エリック・ボッチャー氏、ニューヨーク州エネルギー委員長リチャード・カウフマン氏らも出席した。来場者の前で実際に装置が稼働し、CO2からガソリンが生成される様子が披露された。
同社は2019年にミア・ダールグレン氏とエリック・ダールグレン氏によって設立され、デンマークの海運大手A.P.モラー・マースクのVC部門Maersk Growthからの資金支援を受けて技術開発を進めてきた。
Maersk Growthのエネルギー移行担当シニアVPモーテン・ボー・クリスチャンセン氏は、「DAC技術による低排出燃料の可能性に期待して投資した。今回の成功で、その実現へ向けて重要な一歩を踏み出した」とコメントしている。
Aircelaは2025年秋以降に、初期導入を開始する予定である。現時点では、追加のインフラ整備を必要とせず、現行のエンジンでも使用可能な「空気から作るガソリン」の普及が期待されている。
参考:https://sites.google.com/aircela.com/aircelapresskit/home