シンガポール拠点の気候関連データ基盤CAD Trustは28日、国際カーボン市場への展開を視野に入れた新バージョン「Data Model v2.0」を公開し、意見募集を開始した。新モデルは、レジストリ間の相互運用性やパリ協定第6条対応に重点を置き、制度的な整合性とデータ標準化を促進する。
CAD TrustのData Model v2.0は、既存のv1.0構造をベースに、エンティティ間の論理関係やデータ構造を最適化し、より多様なレジストリ設計に対応できる仕様に刷新された。これにより、国や制度をまたいだラベル検索や二重計上の識別など、公共的な用途にも対応できるようになる。
v2.0では、パリ協定第6条報告の標準形式「Agreed Electronic Format(AEF)」への準拠が強化され、グローバルな排出量取引の会計処理を支える。また、シンガポール主導のArticle 6.2クレジットプロトコルや、世界銀行およびUNDPの支援する国家レジストリ整備プロジェクトにも準拠する。
新モデルは、2025年夏に予定される技術調整と意見募集を経て、2025年第4四半期初頭までに全接続レジストリへ適用が完了する見込み。今後新たに接続されるレジストリはすべて、v2.0を基準に統合される。
技術責任者のエヴァン・コン氏は、「市場ニーズの進化に対応するため、信頼性の高い統一データを今後も提供し続ける」と述べた。
CAD Trustは、分散型台帳技術を活用し、カーボンクレジットマーケットの信頼性向上と二重計上防止を目的としたメタデータ基盤として、パリ協定第6条の実効的運用を支える構造を構築している。
参考:https://climateactiondata.org/cad-trust-announces-data-model-v2-0-now-open-for-consultation/