米CarbonQuestは3日、ワシントン州の食品・飲料製造施設において、現地での炭素回収・利用・貯留(CCUS)システムを導入したと発表した。同社にとって食品・飲料業界への初進出となる。背景には、CO2の供給不安定化と持続可能な生産体制へのニーズがある。
CarbonQuestが導入したのは、施設内で直接排出されるCO2を回収・液化し、飲料グレードに精製して製造工程で再利用するシステムである。
この設備は、15年間で約22,000トンのCO2を回収する見込みであり、飲料の炭酸化、冷却、瓶詰め、鮮度保持などに使用される。
従来、食品・飲料業界では、エタノール生産や天然ガス処理、アンモニア工場から発生するCO2を外部調達し、長距離輸送によって入手していた。しかし近年は供給不足や価格高騰が頻発し、事業運営に支障を来すケースもあった。
同社の分散型炭素回収システム(Distributed Carbon Capture System:DCCS)は、モジュール式で省スペース設計となっており、固体吸着材を用いた高効率のCO2回収を実現する。施設内で再利用することで、Scope1排出(施設由来の直接排出)を削減できるとともに、CO2輸送に伴うScope3排出(間接排出)も抑制される。
製品名「SustainableCO2™」として提供されるこの再生CO2は、施設内利用だけでなく、周辺の企業への供給も可能である。
同社CEOのシェーン・ジョンソン氏は、「我々のソリューションは、CO2市場の変動から顧客を守り、循環型カーボン経済への参加を促進する」と述べている。