アップルは、2025年6月、南米ガイアナの国家森林保護プログラムから10万t CO2eのカーボンクレジットを購入した。2024年の企業活動および製品に伴う排出量の削減を目的とするもので、同社の環境進捗報告書で明らかにされた。
森林保全による炭素吸収量を活用した国際取引
購入されたカーボンクレジットは、ガイアナが2019年に発行したもので、「Architecture for REDD+ Transactions(ART)」の「TREES」基準に基づいて発行された。
ガイアナは2016~2020年の5年間で約3,347万トンのカーボンクレジットを獲得しており、約1,800万ヘクタール(国土の85%)に及ぶ森林を対象にした国家レベルの森林保全プログラムによって支えられている。
ガイアナの先行事例と先住民への還元
ガイアナは2022年にボランタリーカーボンクレジット市場に参入し、最初の大型契約として米ヘス社と10年間で3,750万件、約1,180億円(7.5億米ドル)相当の取引を締結した実績がある。
また、ガイアナ政府はカーボンクレジットによる収益の一部を先住民コミュニティへ還元する仕組みを導入しており、各コミュニティがエコツーリズムや農産品開発に活用している。
グローバル企業のクレジット活用動向
アップルはガイアナの他にも、中国、ケニア、パラグアイなどの国々で発行された高品質なクレジットを組み合わせ、企業排出の相殺に活用している。同社はガイアナの森林を「生物多様性のホットスポットであり、重要な流域」と位置付けており、今後も持続可能なクレジット取得を進める姿勢を示している。
参考:https://www.apple.com/environment/pdf/Apple_Environmental_Progress_Report_2025.pdf