カーボンクレジット認証機関のVerraは10日、REDD+新手法「VM0048」に基づく「計画外森林減少リスクの割当マップ」の初回データセットを正式公開した。対象はブラジルのマットグロッソ州とパラー州で、同社のVCS制度を活用するプロジェクトが即時に活用可能となる。新手法の完全運用化に向け、実装が可能な初の行政区が確定した形だ。
手法の運用開始と関係者の役割
今回公表されたマップは、REDD+方法論「VM0048(v1.0)」および補助モジュール「VMD0055(v1.1)」に準拠。CTreesと米クラーク大学地理空間分析センターが開発を主導し、リモートセンシング・地上観測・画像解析・リスクモデリングを用いて作成された。
プロジェクト登録の前提となるベースライン設定の基礎資料であり、排出削減量の算定基準として使われる。Verraは2024年12月に暫定版を公開し、関係者からの意見を反映したうえで正式版を確定した。
リスク割当方式とデータ取得手順
VM0048は、従来のREDD+方式と異なり、行政区域単位の森林減少データをプロジェクト単位にリスク配分する方式を採用。プロジェクト実施者は、Verraから該当エリアのマップと基礎データを取得し、プロジェクト固有の排出係数を適用してベースラインを確定する。
データの入手には、「PADA申請(Project Activity Data Allocation)」をVerraのProject Hub上で提出する必要がある。申請時にはKMLファイルのアップロードが求められる。
移行期間と今後の適用範囲
既存の「計画外森林減少回避(AUDef)」プロジェクトは、リスクマップが公開されてから6か月後の次回検証時に新手法へ移行する義務がある。なお、木材伐採を含むプロジェクトについては、新たなVMD0055の更新版が数か月以内に公表される見通しで、それまでは移行義務は課されない。
Verraは、今回のデータ公表を皮切りに、他州への拡張と品質改善計画を進める。全世界での本格運用を見据え、2025年末までに継続的改善プランを実施する方針である。
参考:https://verra.org/verra-finalizes-allocated-deforestation-risk-maps-for-mato-grosso-and-para/